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アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

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<教室日記>2015・9・22(火)
15松波尚美-1縮小
会員 松波尚美 水彩画

「教室日記」
(作者作品紹介―7)

  
  作者作品紹介7回目は、松波尚美さんの水彩画である。 

2012年4月入会なので、すでに在籍3年半になるのだが、決めた曜日で受講するため、教室で松波さんを知る人は少ない。 

  教室には、そういう人が結構いる。 

あまり、人の絵には興味を示さず、淡々と通い、淡々と描き続ける。 


  松波さんは、初めから水彩画で出発。 確か未経験だったように思う。 
未経験者の水彩修行は、色々な問題を抱える。 
  水加減、色の選択、混色の仕方、筆の運び方など水彩画の初歩的な知識・技術の他、カタチの取り方という厄介な問題がある。 

  松波さんと同じ曜日に年配の女性が一緒に受講しているが、こちらは、入会したてで、全くの初心者。
  そのため、松波さんが通ってきた最初の試練を迎えている。

この方から、先日、質問を受けた。
 

「先生!」 「何から描くのがいいのでしょうか?」



  そう言われて、ふと、松波さんのほうを見た。
 
3年半の先輩は、黙々と練習のための油彩画の模写をしていた。 油彩画を水彩に置き換えている。
  
  余裕があった。 


経験とは、こういうものなんだなア―と、改めて思った。 



  今回、ご紹介の作品は、今年の会員展出品作品である。 
2点出品のうちの1点。

  自分で撮った写真から絵を起こしているオリジナル作品である。 

2014年9月から描き始めて、2015年1月に仕上がった。 5ケ月掛かっている。

  この作品を描き始めた当初から、私は絵の仕上がりがイメージできた。
松波流なのである。

  非常に丹念に色を重ねていく。 水彩画を描くタイプにも色々あるが、松波流は油絵に近い。 
  そのため、濃密な画面になっていく。 

松波流も初めからそうであったわけではない。 初めは模写を繰り返していたが、結構あっさり目であった。 
  松波流が発揮され出したのは、アジサイがぎっしりと咲く坂道の模写からだろう。


写真の模写だったが、写真にはアジサイが、これでもかというくらい咲いていた。 
  松波さんもこれには、すっかり手こずり、途中から愚痴をこぼすほどだった。


「なんで、こんな写真を選んでしまったのだろう」


  そう言うのを、何度も聞いた。 


しかし、人が上達する過程というのは、偶然が作用することが少なくない。 
  松波さんは、この修行を経て、松波流を獲得したと、私は思っている。

私にとっては、今回ご紹介の作品は、アジサイパート2に思えてしょうがない。


  

  改めて、作品を見て頂こう。

松波流は、ぎっしりと描き込む描き方である。 こういう描き方は、私の好みで、見ていてお腹一杯になる。
  満腹感のある作品と言える。



中央のピンク色の花を中心として、日本庭園の情景を描き出している。 
  左手前の水がめから右上奥に至る広がりを十分に描き出している。 右上奥は、木々が途切れているらしく日当たりがいい。 明るく、緑も明るい緑となっている。

  反面、手前は、上のほうに木々が覆いかぶさっているのだろう、日当たりが悪く、緑も濃く、苔の住処となっている。 

  今にも、苔の土臭い匂いがしてきそうだ。

手前の左右の抑えの間に、奥への広がりがあり、安定した構図は、心地よい。 


  
  今日も、松波さんは、淡々と通い、淡々と描いている。 口数は少なく、時々、ニヤリと笑う。
  私に絵を見てくれと頼むこともしない。 そんな松波さんを知る人は少ない。

しかし、わが教室には、こういうシッカリとした個性がある。 


  そのことを、皆に知ってもらいたい。





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