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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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<教室日記>2014・3・24(火) |
「教室日記」
先週の土曜日の午前教室の受講者は、40代の I さん一人だけ。 今年に入って、一人だけは2回目。 以前は絶対にありえない現象だ。
昨年秋頃から、土曜午前教室が満員になったことがない。 今までは、一週間前には、予約で満員になるのが普通。 それがどうしたわけか?
別に、会員の数が減ったためではない。 その分、平日の昼、夜が混み出したので、土曜集中が、分散したためと思われる。
おかげで、私はのんびりできる。 毎週、土曜日は、気合を入れないと乗り切れない。 単純計算で、午前10時から午後1時までの大人教室が10人、午後1時から4時までのキッズ教室が20人、4時から8時までの大人教室が10人。 これが通常の土曜日だった。 計40人がバラバラの作業をしている。 これを一人で面倒みる。 疲れている暇はない。
だから、4時からの大人教室になると、いつもホッとした。 あとは、8時まで、比較的にのんびりできる。 日曜と月曜はお休みなので、土曜日が週末になる。 その週末の試練が、午後4時までということ。
先週の土曜4時からの教室は、久しぶりに受講予約が8人だったが、二人キャンセルが出て、6人になった。 その6人の中に、30代の S さんがいた。
今は、30号の油絵を描き始めたばかり。 ヨーロッパ旅行で撮った写真を基にしている。 公園内のテント形式のお店が連なる情景といった按配の写真である。 お店の外側は、いかにもヨーロッパらしい色とりどりのレンガ作りの建物が囲っている。
雰囲気のある情景であるが、写真にちょっと難があった。 写真の右側に一番の近景になるフルーツを売るお店があり、屋根にあたる所には、看板がある。 背景には、レンガ作りの建物の屋根が迫っている。
そのお店は、ちょうど角になっていて、写真中央から左に90度に折れて、奥へ向かって違うお店が連なる。 写真右側が近景、中央から左に中景、遠景と続いている。 遠景には、また、背景として他の建物2棟の上部と屋根部分が見える。 お店の前には、多少まばらだが、人が数人映っている。
この写真のどこに難があるかと言えば、この写真通りに絵にした場合、右側が近景でメイン、左側がサブで、中景、遠景なので、メインの近景をしっかり描けないことにある。 絵の画面は、左より右が重たいという考え方がある。 それで、ほとんどの絵は左側が抑えになっている。 ところが、 S さんの写真では、右に近景がデンとあり、左が先細りになっているため、右側のメインをしっかり描くと、右側がグーんと重くなり、左側は、ほとんどあってもなくてもいい状態になる。
S さんが描きたいのは右側。 だから、最初に描き始めた時に、左はかすんで描いていた。 左側の背景の建物は、ぼんやりとしている。 そのため、左側の背景の建物を抑えにするしかないと考え、建物はしっかり描くようアドバイスした。
先週の土曜日は、描き始めて何回目かの受講であったので、ある程度、全体像が浮かび上がってきた。 近景のお店の中の棚も大雑把に描いてあったので、とりあえず、これ以上、細かく描かないようにアドバイスした。 それより、左に力を入れるようにと。
S さんは戸惑った。
これから、右側のお店を描き込むつもりでいた。 私がアドバイスしたら筆が止まった。
「ウ~ンーーー」
と、言って、困っていたので、
「じゃー、写真に撮って、反転して見せてあげる」 「右と左の関係が良く分かるから」
と、私が言い、Sさんの描きかけの絵を写真に撮った。 デジカメなので、パソコンに取り込み、絵以外のところをトリミングして、左右を反転させた。 反転させた絵を S さんが見て、愕然とした。
「エーーーー!!」
「こっちのほうが、ぜんぜんイーじゃないですか!」 「全てが自然だし、近景も生きてる」 「エーーーー!!」
S さんは、戸惑いを隠せなかった。
S さんは、今までに4回はこの絵で受講している。 1回3時間受講なので、12時間は描いていることになる。 今更、描き直したくないのは、当然だろう。 だが、しかし、反転した絵を見た以上、今後、このまま進めて行って、もし、壁に突き当たったら、その時は、どう考えるだろうか。
「私なら、描き直すね、今からでも遅くないしね」
と、追い討ちをかけた。
S さんは、結局、描き直すと言って、帰って行ったが、帰るまで、ショック状態のままだった。 S さんが帰った後、ことの一部始終を聞いていた他の受講者3人に、反転させた絵を見せた。
「やっぱし、こっちのほうがいい!」
3人が同じことを言った。
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