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アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

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<教室日記>2014・3・3(火
「教室日記」

  昨年暮れ、26日に女房殿と「ホキ美術館」に行って来た。 
2年余り前に千葉にできた「写実絵画の殿堂」である。
  
  70点を超える展示だそうだが、1階から細長い建物の地下3階まで、細長く展示されていた。
  写実と言っても、美術館が謳っているように超写実。 まるで、写真と間違えるような作品が多い。
  野田弘志展の最中で、地下1階では、氏の作品群が数多く展示されていた。

ここを訪れた生徒さんが言っていた。

「近くで見ると油絵で描いたのが分かるんですよ」
「筆あとが見える」

  確かに、そういう作品もある。 特に野田弘志氏は、他の作品と比べると、はっきりと筆あとを残している。 
  逆に、生島浩氏の作品は、筆あとが全くない。 大きな紙焼きの写真を見ているようだ。 
  野田氏は、筆あとをワザと残している。 生島氏は、ワザと残さない。 そう思えた。 超写実に対する考え方の違いだろう。
  筆あとに関しては、この二人の間に、他の作者がいるという感じ。 



筆あとがないと大きな写真に見えなくもない。 
  16世紀から18世紀あたりのヨーロッパ絵画の写実性とは明らかに違う。 ルーベンスやフェルメールの絵を写真みたいと言う人は、たぶん、いないだろう。
  確かに非常に写実的だが、何となく絵と分かる。 

  フェルメールの絵と同じように、モデルを置き、ライテイングしてみたが、どうしても同じようにはできなかったという実験結果がある。 
  これは、フェルメールが光の加減を絵の中で調整しているからに他ならない。
つまり、実際にはありえないライテイングをしているということ。 
  これを以ってしても写真とは違う。


では、超写実と写真との違いは何だろうか?

  ホキ美術館では、そのことをズーと考えてしまった。 
おそらく、今回見た作品のほとんどは、写真で同じように撮れるように思う。 むしろ、写真を参考に描いている可能性がある。 

  これだけ、リアルに描くためには、写真を参考にしなければ、制作として成り立たない。 もちろん、実際のモデルを置くとしても、写真を参考にする割合は、高いはず。
  制作期間が、何ケ月にも及ぶ場合、毎回、目の前にモデルを置けないからである。 

  また、超写実は、見たままを描くのだろう。 アレンジはしない。 後ろの壁にハエが止まっていたら、それも描いてしまう。 それが、超写実の考え方かもしれない。 

  だとしたら、写真で済むことを、わざわざ絵にする理由があるのだろうか?

単なる腕試しなのか。 もっと、意地悪を言えば、自己満足なのか?
  そのことが、今一つ分からない。 色々、疑問だけが湧き上がる。
 


腕と言うか、技については、どうやって身に付けたのだろうかと思うほど、卓越している。 特に生島氏の技術には驚くしかない。 
  こういう技術は、普通に油絵を描いたのでは、身に付かない。 超写実を目指して、技を獲得しないと、手に入らない。 相当な努力が必要。 

  考えるに、その努力の原動力となる動機は、めちゃリアルに描きたい。 ということではないだろうか。  
  おそらく、いたって単純な動機だと思う。 芸術どうのこうのから出発していないことは、明白。 
  なぜなら、こういっては、叱られそうだが、極めてマニアックだからである。



超写実は、芸術なのか、超写真なのか、はっきりしない。 この判断は、結構、微妙。 
  写真をアレンジすると絵と言える。 乱暴な決め付けだが、写真そのままではなく、作者の意図によって、写真を変更するので、作者の創作の範疇に踏み入ることになる。
  野田氏が、ワザと筆あとを残すのも、これは絵であるとの主張からだと思う。 筆あとを残さないと、職人の仕事になると考えているのかもしれない。 

  野田氏は、80才を超えており、芸大の油絵科出身。 わが師匠の映周先生も、少し上だが、やはり芸大の彫刻科出身。 
  この世代は、拘りがある。 

私が10代の頃、映周先生は木彫をしていた。 主に般若・仏像・だるま像を彫っていたが、常に彫りあとを残していた。 
  街で見かける彫り物は、表面に紙やすりをかけるので、彫りあとがない。 
本人曰く。

「紙やすりをかけて、きれいに仕上げたら、品位がない」
「それは、職人の仕事」
「芸術作品は、彫りあとを残す」


  おそらく、野田氏も同じ拘りのように思えた。 



超写実に結論が出ないまま、ホキ美術館を後にした。 
  皆さんも、一度は見に行かれることをオススメする。 
芸術性については、よく分からない。 しかし、絵を描く者として、人は、どこまでリアルに描けるのか、確かめることはできる。 

  そういう意味で、今回の訪問は、非常に有意義であったことは、確かであった。





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