fc2ブログ
アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

最近の記事

カテゴリー

カレンダー

04 | 2023/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最近のコメント

FC2カウンター

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

フリーエリア

にほんブログ村 美術ブログ 絵画へ にほんブログ村 美術ブログへ

RSSフィード

<教室日記>2014・12・9(火)
北山・デッサン(縮小)
助手 北山 茜 デッサン

「作品紹介-17」

  さて、作品紹介17人目は、北山茜さんのデッサン。

「やっとここまで、来たかアー」 の感あり。 
 
  作品紹介は、全18点、18作者の紹介を目指し、スタートしたので、終わりの17と18は、教室スタッフの作品紹介を考えていた。  
  その17に、やっと到着した。 すでに12月。

皆さんご存知のように、教室スタッフの二人は、私の弟子である。 大野まみ講師と北山さん。
  北山さんは教室助手という立場にあるが、研究所所属の研究生でもある。 まだまだ、勉強することが色々あるため、研究生として、もっか修行中。
  
  今は、もっぱらデッサン修行に精を出しているが、何か拘りがあり、中々前に進まない。
  今回ご紹介のアグリッパ首像のデッサンも、えらく時間が掛かった。
  
石膏像の顔の向きは、右向き、左向きで難易度が変わる。 向かって右向きのほうが難しい。
  北山さんは、右向きで描いていたので、

「チャレンジャーだねぇ―」

  と言うと、

「先生が右向きにしたんです」

  と、言われた。

忘れていた。

  そのせいか、何度も描き直しが続いた。
右向きは、右に向かって顔のカタチが出っ張るため、目が付いて行きづらい。 そのため、顔のバランスを崩しやすい。
  左向きより倍の時間が掛かってしまうが、それだけ勉強になるとも言える。

北山さんは、昨年の会員展には、足の石膏デッサンを出品した。 拘り抜いた一品だった。  
  それで、アグリッパでちょっと意地悪して、顔を右向きにした。 ということだと思う。
  すでに、経緯は忘れてしまったが、私の意地悪は、親切心の為せる技。

だったと思う。



  さて、アグリッパのデッサンは、ご覧のとおり、ガッシリと描かれている。 バランスもさすがに崩れてない。
  アグリッパは、古代ロ―マの将軍であり、政治家でもあった人物。 いかにも、ロ―マ人らしい顔のホリの深さは、東洋人にとっては、全く馴染みがないだろう。
  少なくとも、この手の顔と、西船の夜道で、出くわしたくはない。

アグリッパを描くとは、そういうこと。 あり得ないものを描く。 頭の中にあり得ない面構えを描くということ。 
  デッサンは頭の中の情報で描く。 しかし、普通の人の頭の中に、アグリッパのような面構えは、情報として、まずもって、入ってない。

  北山さんは、その面構えを、粘り通して、実体化したのである。


頭にないものを描くのだから、大変だったことは、言うまでもない。 
  ましてや、右向き。 ましてや、拘り症。 

ある時、北山さんからSOS。

「先生! 顔のカタチが変なのですが、何が原因なのか分かりません」

  早速、私がチェックしたが、しばらく原因が分からなかった。 顔のパーツの一つ一つは合っているが、なぜか四角い顔になっている。 アグリッパはもうちょっと顔が長い。

「では、なぜ?」

  たいていのことは、すぐに気が付くが、この時は、時間が掛かった。 顔を一通りチェックしてやっと気が付いた。

「耳だ! 北山さん! 耳の位置が高い!」
「だから、鼻から下が、全部、上に引っ張られて、四角くなってしまったんだよ」


  こういう発見は、先生にとってもありがたい。 他の生徒さんの誤りをすぐに正せるからだ。
  私も、アグリッパは描いたことがあるが、耳の位置が高いと、どうなるのかは知らなかった。



  デッサンのカタチは理屈で描ける。 濃淡は感覚。 感覚は説明できないが、理屈は説明できる。
  だから、カタチがオカシいと思ったら、必ず原因がある。 原因を探したら、必ず見つかる。 
  しかし、生徒さんによっては、上手くカタチが取れないと、決まって、才能のあるなしを口にする。

  カタチに関して、才能(適正)がない人は、ほとんどいない。 面倒がるからカタチが取れないだけ。
  つまり、デッサンに対する姿勢の問題。 真面目に取り組むか、適当か。

才能云々を言うなら、むしろ、濃淡調整で言うべきだろう。 濃淡調整は感覚の問題。 感覚は人によりマチマチ。 
  でも、なぜか、濃淡調整では、才能のあるなしは言わない。 不思議だ。


北山さんは、今、メジチ首像を描いている。 これも難しい。 
  まだ、カタチを直している最中。 カタチの直しだけでも、ずいぶん時間が掛かっている。 
 
  アグリッパよりメジチが難しいのか、北山さんは、何度も何度もカタチを直している。 そして、少し離れた所からズーと見ている。 これを繰り返している。 
  何か迷っているなア―と思うと、

「ちょっと、見てやろうか」 

  と、声を掛ける。



先日、両目の角度が違うと指摘した。


「えーーーーーー!!!!」


  と、北山さんが嘆いた。 
目のところが全部描き直しだからである。 
  それまでにも、目は直し、ほほ骨の角度を直し、口を直し、まゆを直し、これが整形手術だったら、ほとんど原型を留めない。


「それと、鼻の角度も違うねー」


「えーーーーーー!!!!」


「う~ん、これは描き直したほうが早いかなアー」


「えーーーーーー!!!!」





「えっ!」





「うそッ!」





スポンサーサイト




この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://art21japantaya.blog121.fc2.com/tb.php/905-9ade5c87
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)