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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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<教室日記>2014・12・9(火) |
 助手 北山 茜 デッサン
「作品紹介-17」
さて、作品紹介17人目は、北山茜さんのデッサン。
「やっとここまで、来たかアー」 の感あり。 作品紹介は、全18点、18作者の紹介を目指し、スタートしたので、終わりの17と18は、教室スタッフの作品紹介を考えていた。 その17に、やっと到着した。 すでに12月。
皆さんご存知のように、教室スタッフの二人は、私の弟子である。 大野まみ講師と北山さん。 北山さんは教室助手という立場にあるが、研究所所属の研究生でもある。 まだまだ、勉強することが色々あるため、研究生として、もっか修行中。 今は、もっぱらデッサン修行に精を出しているが、何か拘りがあり、中々前に進まない。 今回ご紹介のアグリッパ首像のデッサンも、えらく時間が掛かった。 石膏像の顔の向きは、右向き、左向きで難易度が変わる。 向かって右向きのほうが難しい。 北山さんは、右向きで描いていたので、
「チャレンジャーだねぇ―」
と言うと、
「先生が右向きにしたんです」
と、言われた。
忘れていた。
そのせいか、何度も描き直しが続いた。 右向きは、右に向かって顔のカタチが出っ張るため、目が付いて行きづらい。 そのため、顔のバランスを崩しやすい。 左向きより倍の時間が掛かってしまうが、それだけ勉強になるとも言える。
北山さんは、昨年の会員展には、足の石膏デッサンを出品した。 拘り抜いた一品だった。 それで、アグリッパでちょっと意地悪して、顔を右向きにした。 ということだと思う。 すでに、経緯は忘れてしまったが、私の意地悪は、親切心の為せる技。
だったと思う。
さて、アグリッパのデッサンは、ご覧のとおり、ガッシリと描かれている。 バランスもさすがに崩れてない。 アグリッパは、古代ロ―マの将軍であり、政治家でもあった人物。 いかにも、ロ―マ人らしい顔のホリの深さは、東洋人にとっては、全く馴染みがないだろう。 少なくとも、この手の顔と、西船の夜道で、出くわしたくはない。
アグリッパを描くとは、そういうこと。 あり得ないものを描く。 頭の中にあり得ない面構えを描くということ。 デッサンは頭の中の情報で描く。 しかし、普通の人の頭の中に、アグリッパのような面構えは、情報として、まずもって、入ってない。
北山さんは、その面構えを、粘り通して、実体化したのである。
頭にないものを描くのだから、大変だったことは、言うまでもない。 ましてや、右向き。 ましてや、拘り症。
ある時、北山さんからSOS。
「先生! 顔のカタチが変なのですが、何が原因なのか分かりません」
早速、私がチェックしたが、しばらく原因が分からなかった。 顔のパーツの一つ一つは合っているが、なぜか四角い顔になっている。 アグリッパはもうちょっと顔が長い。
「では、なぜ?」
たいていのことは、すぐに気が付くが、この時は、時間が掛かった。 顔を一通りチェックしてやっと気が付いた。
「耳だ! 北山さん! 耳の位置が高い!」 「だから、鼻から下が、全部、上に引っ張られて、四角くなってしまったんだよ」
こういう発見は、先生にとってもありがたい。 他の生徒さんの誤りをすぐに正せるからだ。 私も、アグリッパは描いたことがあるが、耳の位置が高いと、どうなるのかは知らなかった。
デッサンのカタチは理屈で描ける。 濃淡は感覚。 感覚は説明できないが、理屈は説明できる。 だから、カタチがオカシいと思ったら、必ず原因がある。 原因を探したら、必ず見つかる。 しかし、生徒さんによっては、上手くカタチが取れないと、決まって、才能のあるなしを口にする。
カタチに関して、才能(適正)がない人は、ほとんどいない。 面倒がるからカタチが取れないだけ。 つまり、デッサンに対する姿勢の問題。 真面目に取り組むか、適当か。
才能云々を言うなら、むしろ、濃淡調整で言うべきだろう。 濃淡調整は感覚の問題。 感覚は人によりマチマチ。 でも、なぜか、濃淡調整では、才能のあるなしは言わない。 不思議だ。
北山さんは、今、メジチ首像を描いている。 これも難しい。 まだ、カタチを直している最中。 カタチの直しだけでも、ずいぶん時間が掛かっている。 アグリッパよりメジチが難しいのか、北山さんは、何度も何度もカタチを直している。 そして、少し離れた所からズーと見ている。 これを繰り返している。 何か迷っているなア―と思うと、
「ちょっと、見てやろうか」
と、声を掛ける。
先日、両目の角度が違うと指摘した。
「えーーーーーー!!!!」
と、北山さんが嘆いた。 目のところが全部描き直しだからである。 それまでにも、目は直し、ほほ骨の角度を直し、口を直し、まゆを直し、これが整形手術だったら、ほとんど原型を留めない。
「それと、鼻の角度も違うねー」
「えーーーーーー!!!!」
「う~ん、これは描き直したほうが早いかなアー」
「えーーーーーー!!!!」
「えっ!」
「うそッ!」
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