先週の土曜日、わが教室の、E.H.さん(女性)の身に起こった悲劇は、衝撃的であった。
土曜の午前の教室に、E.H.さんが現れたのは10時すぎ、「教室展」も近いので、出品点数を聞いた。1点だと言う。E.H.さんは、今描いている、「オランダの田園風景」より、前回の「海の景色」が気にいっていて、それを出したいと言う。 油彩画である。
「海の風景」は、F6サイズで、大きな入道雲が印象的で、教室の評判もいい。四ヶ月近く掛かったので、本人の思い入れも、強いのであろう。 私は、制作中の「オランダの田園風景」も、そろそろ仕上がるので、それも、出すように薦めた。 E.H.さんが、「オランダの田園風景」を仕上げて帰ったのが、午後1時。額が一つしかないので、買いに行こうかなと言っていた。
午後3時9分にE.H.さんからメールがきた。 「海の風景」が、ドブ川に沈んでしまった。 E.H.さん、自宅に帰ってから、「海の風景」を持って、近くのプランタンに額を買いに行った。日傘片手に川沿いを急ぐ。
その時、突風が吹いた。E.H.さんあわてて傘を押さえる。袋に入れた 「海の風景」が、宙に舞う。そのまま、川の中へ、ドボン。なす術もなかったようである。 四ヶ月近く掛かった作品が、川底へ沈んでいく様を、見ている心境は、どんなであったろうか。掛ける言葉もなし。私が言い出さなければ、こんな不運はなかった。申し訳ない。思い入れのある作品は、自分の分身である。悲劇であります。無念!
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