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アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

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<教室日記>2014・9・16(火)
稲垣・デッサン2
会員 稲垣博之 デッサン

「作品紹介-7」 

  初めにお知らせ一つ。 
田屋の作品が、展示される。 
  この夏に制作していたものだが、一応ご紹介しておこう。 
興味のある方、六本木まで足を運ばれたし。


<第78回新制作展> 
国立新美術館
 9月17日(水)~29日(月)
 10:00~18:00(入場17:30)
  金・土は、入場19時30分まで。
 3階小作品部門に展示・24日(水)休館
○アクセス:千代田線乃木坂駅6番出口で直結。




  さて、今年後半の大人教室会員の作品紹介を始めよう。 
7人目は、稲垣博之さんのデッサンである。
  石膏像のアグリッパ。 首像なので、肩はなく、ほとんど首から上の石膏像になる。 

  稲垣さんは、このアグリッパに悩まされたという話になってしまうが、アグリッパに悩まされたのは、稲垣さんだけではない。 過去に遡れば、両手の指では足りないほどの生徒さんが、悩まされてきた。

  今は、多摩美の3年生になったNちゃんが、女子高2年の時に、わが教室でアグリッパを描いていた。
  さんざん、悩まされたあげくに、言ったものである。 

「アグリッパを語らせたら、一晩でもしゃべる」

 

  なぜ、そんなにアグリッパが難しいのか? 

アグリッパは、石膏像のデッサンとしては、難易度は高くないのが通説。 
  理由は簡単で、メリハリが効いているから。 
アグリッパほどメリハリのある顔は、やたらお目にかかれない。 

  絵は、メリハリがハッキリしているほうが描きやすい。 人の顔は特にそうだろう。 だから、趣味で絵を描く人で、東洋系の顔よりも白人系を好む傾向は昔からある。 

  では、メリハリの王者のようなアグリッパに、なぜ、皆、戸惑うのか、不思議であろう。 

  考えられる理由は、 
まず、わが教室では、アグリッパを石膏像の最初のモチーフとして描くことが考えられる。 
  それまで、静物を描いてきた人が、初めてアグリッパという人体を描く。 人体の難しさは、ボトルや貝などの比ではない。 それで、戸惑う。
 
  アグリッパは描きやすい石膏像であるが、それは、他の石膏像との比較であって、アグリッパを描きやすいと思うには、他の難物を描いて、初めて分かること。 
  人体との最初の遭遇が、たまたま、アグリッパだったということだろう。 

ただ、アグリッパの目に惑わされることは、あるかもしれない。 他の石膏像の目は、アグリッパほどウツロではない。 
  アグリッパがイヤラシイのは、顔や頭のメリハリは、しっかりしているのに、目はウツロなこと。

  ローマ人特有のケタタマシい彫りの深さは、石膏の白目を窪地の奥に沈み込ませている。 そのため、日中でも目がどうなっているのか、よく分からない。 
  夜間ともなれば、天井の蛍光灯は、アグリッパの目の窪地を照らすことなく、目の辺りは、サングラス状態になっている。 かすかに、白目がウツロに、ぼんやり見える。

  人体と遭遇したら、目はウツロ。 

これでは、慣れていない生徒さんはお手上げになる。 


  さて、稲垣さんは、昨年11月に石膏像首像のメジチを描き出した。 
わが教室の石膏像の順番では、アグリッパの次がメジチ。 いきなりメジチになったのは、アグリッパが、使用中であったので、仕方なく。 

  しかし、メジチは首を捻っているため、また、その首がやたら長いこともあり、ヒドくバランスを取りづらい。 稲垣さんも何度も描き直したが上手く描けない。 
  年が明け、1月の後半になった時に、メジチを断念した。 アグリッパが空いたので、やはり、アグリッパに戻った。 



  稲垣さんは、水彩画で入会し、しばらく、水彩画の模写をしていた。 その後、モチーフを単体で描く基礎デッサンのコースに移り、ボトル、貝と続き、最終モチーフである水差しと布を描き上げて、基礎デッサンコースを終了した。 

  すでに、水彩画に戻るつもりだったが、石膏像を一つくらい描こうという私の提案により、アグリッパを描くことになった。 

  順番が狂い、メジチの洗礼を受けてしまったが、アグリッパに戻っても、決して、すんなりとは、行かなかったのである。 
  私の余計な提案は、稲垣さんを悩ませた。

石膏像に慣れていない人は、石膏像の顔が、まず、見たことのある顔になる。 
  アグリッパほどのメリハリある顔を、日本の巷で見かけることはほとんどない。 アグリッパ似の危ないオッチャンになるのが普通。 そういうご面相の方なら、新宿辺りにいそうだ。 

  納涼祭などで活躍してくれる K君 が、アグリッパを描いたことがあったが、最初に描いた時のアグリッパの顔が危なかった。 あっち方面のお方。 

  私も思わずからかってしまい、

「K君!  このデッサンを持って、夜の歌舞伎町へ行って、この人を知りませんか? と尋ね歩いたらたら、何人か、思い当たる人が現れるね」


  稲垣さんも、まず、東洋系の危ないオッチャンになった。 東洋系とは、頭のハチが小さく目が窪んだ人。 カン骨が飛び出している。 香港マフィア系。
 
  目は、しっかりとアグリッパを見ているのだが、脳がアグリッパのご面相を認識できない。 そのため、脳は一番近そうな見たことのある顔を引っ張り出して、この顔だと認識する。 
  そのため、香港マフィア系が該当してしまう。

なかなか、アグリッパになってくれない。 いかにもローマ人という顔に、まず、ならないとアグリッパは遠い。 稲垣さんも何度も描き直し、何度も首を捻った。 


  しかし、何事にも終わりはある。 稲垣さんにもアグリッパとお別れする時はやってきた。 
  まあ、なんとか描き上げたわけだ。
 
さて、稲垣さんは、今後、石膏デッサンをするだろうか? 
  私は、たぶん、もうしないと思う。 
デッサンは、あくまで基礎練習。 アグリッパを描くまでには、他に色々なデッサンを描いてきている。
  それで、十分と言えば、言えるかもしれない。

今は、水彩画の模写に戻った。 上手く行かず苦戦しているが、十分有意義な勉強をしていることになる。 絵は、やはり、作品制作が面白い。 

  デッサンを経験して水彩画に戻ったので、水彩画で入会した当初とは、気分的にも意識的にもだいぶ違うと思う。 デッサン→水彩画と続く、正規の順番を踏んだので、迷いがなくなる。  

  だから、そのうち、誰かと絵の話になった時、デッサンはやったのかと聞かれれば、稲垣さんは、自信を持って、こう、答えるかもしれない。 


「いやー! アグリッパには参りました」 
「あの目は、なんとかなりませんかねエー」



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