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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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<教室日記>2014・5・13(火) |
「ブログ講義」 (水彩についてのエトセトラ) 連休中は、教室も休講した。 その間に、秋の展覧会用の試作をやっていたが、失敗して描き直した。 描き直しは、これで3回目。 どうも、チグハグになる。 でも、やはり、失敗するといいこともある。 何となく分かってきたことがあった。
私が、今やっていることは、具象画面と抽象画面を接着させること。 ただの接着なら、すでにやっている人がいて、方法として、それほど難しくない。 やり方しては、まず、抽象画面を作る。 何でもいい。 抽象画になっていればいい。 そして、それから、その抽象画面に具体性を持たせる。 人やら風景やら瓶やら花やら・・・、何を描いたのか分かるものにする。 つまり、具象画。 抽象画面は、意外と何かに見えたりすることがある。 それを、利用して具象画面にすると、どうやって描いたのだろうかと、考えてしまうような、面白い絵ができる。
この場合の技は、抽象画面から具象性を引っ張り出すこと。 まあ、考えれば何とかなる。 方法として、それほど難しくないと言った訳は、思考が一つで済むから。
抽象を描いている時は、抽象のことだけを考えていればいいし、具象化する時は、具象にすることだけを考えればいいので、作業的には楽ということ。 ただ、この場合、どういう具象になるのかは、抽象次第なので、最初からゴールを決められない難点がある。
ゴールを決めて、それに沿った抽象画面を作るとなると、今度は、難易度がグーンと上がってしまう。 極めて難しくなる。
なぜなら、具象画面の効果としての抽象画面なので、抽象画面を作っている時から、何となく具象画面を意識しないとならない。 ゴールが決まっているので、無茶できない。 しかし、ヘタすると、意識し過ぎて、具象をなぞったような抽象画面になってしまう。 これでは、思考が一つということになり、前述の方法を、ただ、ややっこしくしただけ。
具象から遠い抽象に行ったように見せかけ、実は、すぐヨコにいた、という詐欺みたいな技が必要となる。 二つのことを頭の中で同時に追いかけて、片方の自分は、もう片方の自分を騙しながら、描くという訳の分からない技になる。 つまり、思考が二つということ。 この方法のいいところは、意外性。 そして、最初からゴールを決められること。
意外性については、お分かりだろうが、具象画面に効果としてのプラスアルファが期待できる。 これは、絶対的な効果で、接着が上手くいけば、相当、いい感じの絵になる。
少なくとも、2年前に1回成功していて、その時は、ボトルを描いた。 ボトルは、この方法になんとなく向いていて、上手くいったが、他の題材にも適用できないと、意味がない。 そのことで、ヒントを掴んだような気がした。
それが、この5月の連休中に、私がやっていたこと。 訳の分からないことだが、私なりに、色々やっているという話。
さて、ブログ講義に移ろう。 今回のテーマは、「水彩についてのエトセトラ」。 アーカイブ編ではなく、書下ろしである。 水彩を描いている人のために、今回、書いてみようと思った。
教室で、水彩を描いている人に質問された。
「先生、水彩で厚塗りしてはいけないのですか?」
この素朴な質問には、重要なポイントが隠されている。 いい質問だと思う。
そこで、まず、水彩絵具が、どのような絵具なのか、ご説明しよう。 水彩絵具は、ご存知のとおり、水を媒体として使う。 絵具を出したら、水を垂らして筆でかき混ぜる。 すると、水が色に染まる。 これは、当たり前のこと。 しかし、ここで、すでに水彩絵具の特性が出ている。 つまり、水彩絵具は、水で溶いた状態の色が、きれいに出るように作られている。 絵具の材料は、顔料だが、メジウムで練っていて、高純度なアラビヤゴムを精製したものが、使用されている。 しかし、粘着力は弱いので、チューブから絵具を出して、放置すると、固まっても、砕けてしまう。 つまり、厚塗り用ではなく、薄塗り用ということ。 つまり、薄く塗った時に、きれいに発色するように作られているということ。 したがって、絵具を水で溶いて薄く塗るのが、水彩の使い方ということになる。
では、水で溶いた水彩絵具をプラスチックに描いたら、どうなるだろうか。 やるまでもなく、水を弾いて絵具が乗らない。 キャンバスもダメ。 板には乗るが、吸い込まないので、きれいには乗らない。 それで、水彩絵具の支持体は、紙を使う。 紙なら絵具が浸透する。 この場合は、水彩紙になるが、水彩紙は、柔らかく水を含みやすい。 水彩絵具用に開発されているから。 筆もそうだ。 水彩用の筆は柔らかい。 水彩紙が柔らかいので、筆も柔らかい。 しかし、書道用の筆は、水彩用の筆よりもっと柔らかい。 和紙が水彩紙より柔らかいからだ。
ちなみに、油絵用の筆は、硬い。 キャンバスが硬いので、筆も負けないために硬くなっている。 でも、壁塗り用のハケは、油絵用の筆よりもっと硬い。 キャンバスは、しなりがあるが、壁はしならないからである。
適材適所。 工夫されているということ。 したがって、正しい使い方があり、間違った使い方がある。
水彩画は、紙の白さを活かしながら描く。 薄く塗るのはそのため。 下地が白いので、色は全て白の干渉を受け、発色が良くなる。 つまり、下地の白が全く見えなくなるような描き方は、水彩画としては不適当ということになる。 紙に色が浸透していくことを、まず、実感し、それを楽しまなければ、水彩を使う意味はない。
他の絵具を色々使ってみれば、すぐに分かること。 油絵は、厚塗りできるように、絵具自体に粘りがある。 盛り上げても、砕けない。 だから、厚塗りしたければ、油絵で描けばいい。 油絵の匂いがだめなら、アクリルがある。 簡単に、手早く色を混ぜたければ、パステルが便利。
絵具の特徴を活かしながら描くのが、絵というもの。 水彩しかできないことがある。 それなのに、他の絵具のマネを水彩でやるのは、それこそ、水彩絵具がかわいそうというもの。
絵具は、人を裏切らない。 でも、人は絵具を裏切る。
そういうこと。
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テーマ:アート - ジャンル:学問・文化・芸術
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