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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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<教室日記>2013・7・2(火) |

会員 佐藤陽子 静物デッサン <教室日記> (会員作品紹介-4)
先週の金曜日は、午前中、浦安の老人ホームに絵の指導のため出掛けていた。 前日は、市川の老人ホーム。 月二回、老人ホーム訪問週間がある。 ちょうど、この日は、午後の予約がなく、のんびりと浦安からご帰還。 自宅で車から自転車に乗り換えて、郵便局やら銀行やら用事を済ませて、船橋の「味一」のラーメン店に向かった。 しかし、「味一」のラーメンが夏味になっており、スープが薄い。 不満タラタラで西船に戻る。 そのまま、教室に行くはずが、何となく南風堂でお茶してしまった。 まあいいか。 午後4時からのキッズ教室の時に、6月18日のブログでご紹介した「歩く生意気」少女の I ちゃんからメールがあり、6時半頃行ってもいいかとのこと。 9時までの夜の予約が一人あったので、OK返信。 I ちゃんは、美大進学のため、今年3月に退会して予備校に入学していた。 一日に6時間もデッサンなど描かされているようだが、予備校の先生より私の方が細かく見てくれるというので、デッサンや油絵の講評は私に期待していて、妙な話になっている。
I ちゃんが教室に現れた時、ちょうど夜の受講のキャンセルメールが入った。
「先生、すいません」 「帰れたのに、押しかけて」
「あなたは、9時まで粘らないよな?」
木炭デッサン・鉛筆デッサン・油絵の早描きなど10点以上はあった。 結局、講評し終わったのが8時だった。 どうも、今日は早く帰れない運命にあるみたい。
絵は上手い子だが、いかんせん未熟。 あれこれ指摘したが、中にこれは「イカン!」というのがあった。
「この絵は、人に見せたらダメだぞ」 「未熟なのは、恥ではない」 「でも、この絵を見せたら、恥を描くぞ」
I ちゃんは、教室に在籍していた時より今は真剣なので、私の一言で相当メゲるらしい。 前回の時も、家に帰ってから、うなだれてしまったと言っていた。 しかし、受験生は期限付き。 私も世のため人のため、 I ちゃんのため、純辛口批評に磨きをかけている。
「それで、やる気を失くすようでは、見込みはない」
と勝手な言い草が、一人歩き。
さて、作品紹介の話をしよう。 作品紹介5人目は、佐藤さんの静物デッサン。 この作品も昨年の会員展以降に描き始めて、1年掛かりのデッサンである。 1年掛かりなのでデッサンというより鉛筆画といったほうが早いかもしれない。
デッサンは、1年も時間を掛けない。 端的にものの実体を把握するのがデッサン。 したがって、数時間がデッサンに掛ける時間になる。 わが教室では、受験ではないので、十分な時間を掛けて描いてもらっている。 そうすることによって、実体を把握する目が別な意味で身に付いていく。 結果的に、デッサンになろうが、鉛筆画になろうが、それは、出来上がってから決めればいいこと。
要は、どれだけ勉強になるかということ。 1年も時間が掛かるのは、それだけ、問題があったから。 仕上がったということは、それを解決したということ。 その意味するところは大きい。
佐藤さんも問題を色々抱えた。 このデッサンの中で、一番難しかったのは、おそらく瓶だろうと、皆、思うことだろう。 ドーンと象徴的に立っているし、いかにも、難しそうだ。 しかし、さにあらず、佐藤さんは、瓶は、かなり早いうちにクリアした。 佐藤さんを悩ましたのは、意外にもフルーツ。 例えば、バナナだったり、ブドウだったり、そしてリンゴだったり。 布は、それほど悩んでいないのが不思議だ。 どう考えたって、布のほうが難しいはず。
人の苦手は、どこに出てくるか分からない。 リンゴにしても、バナナにしても、教室のデッサンの「お試し」の時のモチーフである。 つまり、初心者用モチーフ。 「お試し」をご存知ない方のためにちょっと説明すると、入会するかしないか、判断してもらうために「お試しコース」というものがある。 2時間を2回やって1000円。 もちろんお得なので、会員のほぼ全員が「お試し」経験者である。
佐藤さんも「お試し」して入会したのだが、「お試し」は絵手紙だった。 入会後、水彩画を描き、その後デッサン。 その頃のデッサンの「お試し」は、瓶から始めていた。 そのため、佐藤さんがデッサンを希望した時は、やはり瓶から始めている。 つまり、フルーツは描いていない。
だが、描いていないので、苦手だとはちょっと思えない。 佐藤さんのキャリアなら問題なく描けるはずだし、現に佐藤さんは、デッサンの最初を瓶から始めている。 その後、デッサンの「お試し」が瓶では、難しいという判断があり、今では、「お試し」は、フルーツからになった。 初心者用モチーフを、瓶からフルーツに格下げしたのである。 だから、瓶から始めた人は、フルーツは難なく描けるはず。 佐藤さんにとって、難しいはずがない。
しかし、予想は時として意外な結果を生む。 フルーツでつまずくとは、私も佐藤さんも予想できなかった。 おそらく、描いたことないと思った瞬間、悩み壷に、はまってしまったのだろう。
「あれ?! あれ?!」 「上手く描けない?」 「あれつ?! あれ?! あれーーーー!!」
と、言っているうちに、ど壺にはまる。
こういうことは、ごく稀であるが、例としてないこともない。 制作中は、他の人には分からない精神的負担がある。 そのため、結構ナイーブになる。 それで、いったん、壷にはまると、中々抜け出せなくなる。 トラウマがトラウマを生む。 佐藤さんがある時、言った。
「先生! 何で上手く描けないんでしょうか?!」 「完全に、はまってしまいました!」
そう言って、フルーツにネを上げた。 まあ、しかし、それも過去の話。 デッサンは結局、メデタク仕上がった。 「佐藤さん! 仕上がって良かったですね」 何が原因で描けなくなるのか、ハッキリしたことは、結局、私にも分からないが、今回のことで、ただ一つ言えることがある。 それは・・・
「デッサンは、フルーツから」
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テーマ:アート - ジャンル:学問・文化・芸術
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