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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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<教室日記>2013・6・18(火) |

会員 内藤友香 油彩画 <教室日記> (会員作品紹介-2)
今回の作品は、内藤さんの作品。 今年の会員展の案内はがき掲載作品だ。 制作が終了した昨年秋に、今年の案内はがきに載せようと考えていた。 案内はがきは、会員展の看板である。 その絵を見て、会員展に興味を持ってもらう狙いがある。 だから、魅力的でないといけない。 内藤さんの絵は、そういう意味で、魅力的だった。 パーとした華やかさがある。
描き始めたのは、一昨年の6月。 2011年の会員展後である。 その前に描いていた絵がF6号で、小さかったので、もうちょっと大きくした。 展覧会出品を見据えた制作だったが、仕上がったのが、2012年の10月。 約1年半掛かった。 秋の紅葉の絵なので、6月に描き出した時は、その年の秋の完成を目指したのだと思う。 ちょうど、季節が合ったはずだったが、一回りして翌年の秋になってしまった。 時間は掛かったが、その分、しっかりとした絵になった。
十和田湖あたりの風景と聞いたように思う。 東北地方なので、秋の紅葉はさぞかしきれいだろう。 そんな風景に魅了され、写真に撮ったのだと思う。 その写真から絵を起こした。 前回の絵は、ヨーロッパの風景で古風な建物を背景に手前の川の周りを人々が行き交うのどかな絵だった。 木々もあったが、それほどでもなく、空と光と川と人。 昼下がりの情景を描いていたが、今度は木々と川がテーマ。 木ばっかりを描かなければならない。 それと川。 対象が少なくなればなるほど、難しさもアップする。 一つ一つの比重が増し、一つ一つの変化を要求されるからだ。 そうしないと絵にならない。 内藤さんは、粘り強く、それらを解決していった。 問題を一つずつ解決すること。 それこそが制作というもの。
内藤さんは、展覧会入選経験がある。 入選経験のある人は、その後の制作は、展覧会出品用に描く。 これは、皆そうなる。 それで、内藤さんも展覧会用に描いた。 その間、私も色々アドバイスした。 色々なことを言うが、 私がアドバイスしたことは、今は分からなくても、そのうち分かる時が来る。 その時のために、色々言う。 言われたことは、記憶に残る。 つまり、記憶に残すために、言うのである。
もともと、上手い人なので、一つ一つ頭の中に入れば、いいと思う。 絵の道は長い。 すこしづつ分かるのが、ちょうど良い。 そうすれば、いつまでも続けていられる。 内藤さんは、今は30号の絵に挑戦している。 これも時間が掛かりそうであるが、今のところ私の出番はない。 本人がイメージを固めているところなので、しばらく、静観。 時々、作業中の絵をちらっと覗いて通り過ぎる。 これも、楽しみ。
さて、6月1日の土曜日に、元会員の I さんから電話があった。 ちょうど、午後の子供教室の最中。 I さんは、19才のお嬢さんで、私が、「歩く生意気」 とあだ名をつけた元気のいい子である。 確かに生意気なところがあるが、絵が上手い子は、えてして生意気な子が多い。 だから、こと絵の世界では、結構普通のこと。
美大受験を志望したため、今年の3月で退会し、美大受験専門の予備校的な学校に入学した。 辞めた時に、油彩画を描いていて、乾かないので、後日取りに来ることになっていた。 子供教室が終了する午後4時に教室に現れると、何やらたくさん絵を持ち込んでいた。 一日6時間は、描かされていると、聞かされていたので、絵を見てもらいたかったようである。
鉛筆デッサンは、木炭紙サイズの大きな紙に描く。 それが数枚、油絵の早描きのデッサン画など、全部で7、8枚はあっただろうか。 もともと、上手い子なので、頑張っているじゃない、というようなことを言った。 手持ちで見たので、イーゼルに立てて見ようということになり、一通り、イーゼルに立てた。
「なんだ!こりゃ!」
細部まで描き込んであるものの、構図に対する配慮はゼロ。 ありゃりゃ!
「何も考えないで描いてるね」
描く場所は、くじ引きで決まるそうだ。 つまり、自分でいい場所は取れない。 決められた場所から見える石膏像の角度を描く。 悪い場所も当然ある。 では、いい場所が取れなかったら、それで点数は下がるのか?
「そうではないだろう」 と言った。 「その場所で描ける最大を引き出すことが、課題なんだよ」 「その点数を付けているのに、あなたは、何も考えていない」 「バッカじゃないの」
気持ちいいほど、言いたいことを言った。 世のため、人のため。 I さんは、生意気だが、素直な子でもある。 生意気で、しかも素直。 絵が上手くなる子の典型である。 私の言うことを自分なりに理解しようと努めていた。
「先生!」 「また、来ていいですか?」 「先生の説明のほうが、分かりやすい」
そう言って、「歩く生意気」少女は帰って行った。
「がんばれよ!」 いつか、いいことがあるから。 それまで、がんばれ! 心の中で、そうつぶやいた。
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テーマ:アート - ジャンル:学問・文化・芸術
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