今週、火曜から土曜は、 <高齢者のための絵画指導>を書いてみます。私自身、高齢者のいるホームに指導に行っておりますので、そこでの経験を基にして、はじめて、絵を始める方を対象に、書いてみようと思います。
まず、見本を描く。これは、水彩や絵手紙の、見本を写すということであります。初めての方は、絵具の使い方、溶き方、水の量、混色の仕方など、とまどうことが、多いと思います。
その上に、絵手紙のように、何を描くか、文章はどうするか、問題が多すぎます。水彩とて、同じで、画面は絵手紙より大きくなりますし、絵も絵手紙のように、ワンポイントではなく、もっと複雑になります。
最初から色々な問題を抱え込んでの、スタートでは、大変です。それで、見本を描くことを、お勧めします。見本であれば、ただ、写すだけなので、どなたでも、簡単に、始めることができます。
この方法の一番いいことは、技術面だけに、作業を絞れる点です。さきほど、言いました、絵具の使い方、溶き方、水の量、混色の仕方などの、技術的なことだけに、絞れるので、負担がそれほど、ありません。
これは、高齢者何十人を相手に、立証済みです。まず、これなら、大丈夫です。そうして、例えば絵手紙を始めた人が、一年もすると、絵具に慣れ、自分で植物を描き、言葉を添えて、私に見せてくれます。
知らず知らずのうちに、見本から、離れ、自分の絵手紙を始めた人を、私は何人も知っています。その方々の年齢は、おおよそ七十歳以上九十歳です。私の生徒さんで、一番の高齢者は、今年九十歳になられたYさん。
見本から離れて、いまでは、小さなスケッチブックに季節の花を描いて楽しんでいます。経験は三年半。
「先生、本当にありがとうございます。絵が、今の一番の楽しみです」と、口癖のように、言っております。
実は、この見本を描くのは、七十うん歳のKさんのアイデアなのです。最初は、絵の練習をしましょう、ということで、果物などをスケッチすることから、始めたのですが、Kさん曰く「今から、絵の練習はできないので、見本を描いて下さい」の一言から、始めたことです。
さあ、お分かりでしょう。まず、見本を写しましょう。そこから、始めて下さい。そこが、入り口です。描けないと思っている、 そこの御仁、まず、描いてみましょう。必ず描けます。私が保証します。
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