景色とは。
景色は、目の前にあるもの、全てが景色である。あらゆるモチーフの中で、一番複雑なのが、景色といえるだろう。質感も多岐にわたり、種類においても、豊富である。自然を見渡しても、街中を見渡しても、その複雑度は、言うまでもない。そして、なによりも、雰囲気がある。
したがって、ただ、ぼんやり見たのでは、手に負えない。まずは、景色の基本的な考え方を述べよう。
例えば、自然だと、森、林、木々、畑、山、家屋、道、川、海、空などを、一つの<かたまり>として、考える。街中だと、建物、ビル、道、自動車、人、空等、やはり、<かたまり>で捉える。
景色は、実際には、様々なものが散乱していることが多い。整理する必要がある。だから、<かたまり>として捉え、大きな<かたまり>、小さい<かたまり>、それを、どのように配置するか、考える。細かいものには、囚われないことが肝要。きりがない。
まず、問題なのは、空である。遠くまで見渡せる景色には、空はつき物である。曇った空、晴れ渡った空は、始末が悪い。無地だからである。
画面の上部は重要な位置になるが(画面については、後日、おそらく、「研究所レベル」で解説する予定なので、それを読まれたし)、そこを、空の無地で描くのは、風景画の宿命であり、古来、風景画家は様々な工夫をしてきた。
空をいかに覆うか、隠すか、雲があったとしても、半分以上を空にすると、雲だけでは、絵にするのは難しい。雰囲気が出るのでと、空を大きくとる絵はあるが、実際、間が抜ける。
空については、空をテーマにしない限り、大きくとると、難しいと思ったほうがいい。
やはり、風景画は、その下でしょう。空の下の広がり、地面もしくは地面近くの、<かたまり>の散乱が、もっとも変化に富み、要素も豊富といえよう。
では、景色をどう見るか。
まず、画面上に、目線を決めることが大事となる。風景を見る者が、立っているか、座っているか、または、丘の上、建物の上から、余程、高い建物にいない限り、目線の先に、地平線があり、水平線がある。つまり、目線より上が上になり、目線より下が下になる。
当たり前のようだが、この認識が風景画の基本となる。(つづく)
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