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アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

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アート徒然日記 ‘11/06/07(火)
<大き過ぎた絵>

  一昨年、私は400号の絵を描いた。

400号と言っても分かりづらいだろう。 
  タテが226cmある。 ヨコはその倍で452cm。 これを畳に換算すると、通常の畳一畳はヨコ90cmでタテが180cmくらいなので、面積比でいうと大雑把に言って6畳半になる。 絵の上で生活できるスペースだ。 壁サイズとも言える。

  これを教室で描いた。 教室で作業できる最大のサイズである。 西側の窓がすっぽり隠れてしまう。 もちろん四つに組み立てる。 
  木製の特注パネルの一つの大きさが、タテが226cmヨコ113cm。 このサイズは、教室のあるマンションのエレベーターに入らない。 教室は5階なので、パネルの納品も、展覧会のための搬入搬出も全て業者が階段で上り下りする。 
  さすがに、嫌な顔をされた。 人迷惑なサイズなのであろう。 

絵は、大きさによって描き手の体も使う箇所が変わる。 10cm四方くらいの絵は、親指と一指し指だけを動かす。 その次が手首を動かす。 肘を動かす。 肩を動かすの順番。
  肩を動かす絵の大きさは、大体100号くらい。 タテが自分の身長くらいだろうか。 イーゼルを使うと、下から少し浮くので、100号でもタテは結構な高さになる。 
  そして、肩の次が膝になる。 膝の屈伸で絵を描くということになる。 400号サイズは、肩と膝の両方を使う。 したがって、体全体で描くと言っても良い。 当然、台を使わないと上のほうまで手が届かない。 
  絵を描く大変さは大小ではないが、大きな絵は、全てに亘って大変であることは言えると思う。

  そんな大きな絵をどうして描くのだろうか?

皆さんもそう考えることだろう。 ただ大きければ良いというものでは、ないのじゃないか? 
  
  そう考えるのも当然であるが、しかし、描き手にも理由はある。 
例えば、東京都美術館、または六本木の国立新美術館に、100号の絵を出品してみると分かると思う。 
  100号は、Fサイズで長辺162cm短辺130cmくらいなので、一般家庭で制作できる最大のサイズかもしれない。 100号の大作と言う言い方もあるくらいなので、大きな絵を意味する言葉として一般的である。 
  しかし、このサイズは残念ながら美術館サイズではない。 天井まで7mやそれ以上の美術館では、100号はびっくりするぐらい小さく見える。 自分では大きな絵を描いたつもりでも、会場でがっくりくる。 
  美術館で普通に見えるサイズは、だいたい150~200号。 200号でちょっと大きいかなというサイズなので、思いっきり大きな絵をみせようとすると、400号くらいのサイズになってしまう。 

  大きな絵を出したい。 ドーンと他を圧倒したい気持ちが、400号を生み出した。 自己顕示欲は留まるところを知らない。 
  バカらしいほど単純な動機であるが、この話にはオチが付く。

400号の絵は、美術館サイズではあるが、展覧会サイズではなかった。 一番大きな絵を受け付ける公募展でも300号が限度。 したがって、400号として展示してくれる美術団体はない。 全くないわけではないが、プロとしての展示を望むと皆無であった。

  展示できないまま400号の絵は、今も教室の隅を居場所にしている。 バカらしいほど単純な理由で描かれた絵は、バカらしいほど簡単な理由で世間の目に触れることがない。

  400号では、大き過ぎた。


田屋のアート講義は、‘09/4/23(木)を以って終了しました。

「研究所レベル」・「大人コース(中・上級)レベル」・「大人コース(初級)レベル」・「キッズコース」・「高齢者のための絵画指導」の五講義(各60テーマ)は、左欄のカテゴリーで、閲覧出来ます。
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