昨日は、晴れ。やっと、秋の日差しである。
さて、私は、若い頃、十代、二十代、と一貫して、女性が苦手だった。
特に十代は、悲惨である。一丁前に恋はするのだが、話が出来ない。デートも何度もするのだが、黙るか、緊張して喋りまくるか、<寅さん>状態になる。後で自己嫌悪に陥る。普通に女性と喋れる人が、羨ましかった。
相手を意識するから、そうなる。意識しない女性もいる。
学生時代、同じクラスの女の子と一緒に帰った。駅が一緒であった。歩きながら、女性論をぶちまけた。真剣に喋ると、いつも硬い話になる。野暮天を地でいっていた。
好きな子とは、まともに、喋れないと言ってしまった。私はその時、まともであった。その子は二度と一緒に帰らなかった。うまくいかない。私は普通に喋れる女友達がほしかった。
もっと普通に喋れる女の子がいた。同じクラスの「A」としよう。大学から帰る方向が一緒であった。私と男友達の井上は、武蔵境、Aは国分寺。大学のある御茶ノ水から、電車に乗る。
Aは165cmはあるだろう。天然ちりちりパーマで、小太り。ミニスカートから私の胴体ぐらいのももが二本、白い網のストッキングに包まれて、出ている。
「どこかに、目の綺麗な子(男の子)がいないかな」が、決まり文句。「田屋君は、目が綺麗だから好き」と世辞を言って、どこにでもついてきた。頭の中も、パーマが、かかっている。
頭のいい井上は、Aをひどく嫌う。吉祥寺で、途中下車して、喫茶店に入ることにした。Aもついてくる。井上が露骨に嫌な顔をする。三人で席につくが、井上は、Aと一緒に座らない。しかたなく、Aの隣に私が座る。
椅子に座ると、Aの足が余計露出し太く突き出る。なんで、白い網のストッキングなんだ?黒のほうが、細く見えるのに。やはり、18才の乙女心は、白なんだろう。太く見えても。
私はAと喋っていて緊張したことがない。難しい話もしない。Aは難しい話を嫌う。
だから、普通の話をする。だからと言って、Aといつも一緒にいるのは、ごめんだ。
一番多感で女性を必要とした時期に、女性が苦手であった。四十代以降、講師という仕事柄のせいか、図々しくなったせいか、あまり気にならなくなった。今、私には、女友達といえる飲み友達、話友達が、数人いる。皆、結構な年齢であるが、一緒にいると楽しい。
なんとなく、人生の帳尻は、合っているような気がする。始め悪ければ、終わり良し。
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