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アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

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新聞配達の朝 <エピソード> ‘09/3/7(土)
   いまよりもっと若い頃、杉並区の阿佐ヶ谷に住んでいた頃、新聞配達のアルバイトをしていた。

   以前にも書いたが、おおよそ40くらいのアルバイト経験がある。その中の一つであり、エピソード「ノー天気予報」の中でも、新聞配達のことは、ちょっと触れている。

   私は、配達だけの要員なので、仕事は簡単である。朝刊と夕刊を配るだけ。朝刊の配り出しが、午前4時で、夕刊も午後4時頃、12時間ごとの仕事になる。
   これだけの、仕事であるが、実際はハタで見るほど楽でない。

その時、その時の体調もあるし、天候もあるし、事情もある。それに、12時間ごとに仕事する時間が来るということは、お出掛けがほとんど出来ないことを意味する。

   それでも、用事があって出掛けたとする。どうなるか。
朝刊を配って、帰宅して8時。風呂に入り、朝食をとり、9時に出掛けたとして、目的地に着いて10時。そこで過ごせる時間は、4時間。午後2時には、帰路、自宅に3時に到着して3時30分には、夕刊を配るために販売店にいないとならない。

   夕刊を大急ぎで配って、帰宅が6時。新宿で飲み会があったとして、風呂に入り着替えて、7時。新宿に到着して、7時30分過ぎ、飲み屋について7時45分。
   翌朝は、遅くても午前3時には起きないとならない。午後8時近くから飲み出したら、あとは、睡眠時間を削るしかない。

   10時30分まで飲んでいたとして、約2時間30分とちょっと。友達との飲み会時間としては短い。電車は十分ある時間ではあるが、持ち時間がない。
   帰宅して、11時15分。なんだかんだで午前0時就寝で、睡眠時間は3時間。

朝刊は、まだ酒が体内に十分残った状態で配ることになる。

   日曜は夕刊がないが、普通の勤めをしている者は、日曜の夜は飲みたがらない。それで、平日の飲み会だといつもこうなる。

   休刊日以外、こういう生活が毎日続く。来る日も来る日もである。

しかし、良いこともある。出掛けずらい状況にあるため、自宅周辺に釘付けであるということは、落ち着いて絵を描ける状況でもある。実際、落ち着いて描けたし、それが理由で新聞を配っていた。

   他にも良いことがあった。仕事中は自分一人であったので、考え事が出来た。絵を描く作業は半分は考える作業である。考えて描き、また考える。それが、アルバイト中に出来るのは有り難かった。

  
   さて、他にも同じ地区を配っているものがいる。他紙である。アッチコッチで出くわす。
   私は、ほとんど口は聞かない。面倒だからである。その中に二十歳そこそこと思われるの女の子がいた。

   まだ、夜が明けぬ暗い内、私は、あるアパートに向かって、暗い路地を新聞を小脇に挟んで、走っていた。ヒョイと見ると、そのアパートから黒い影が現れた。一目でその子だと分かった。

   配り終えて戻ろうとしたのであろうが、向こうは私が分からなかったようである。立ち止まって、様子を伺っている。
   朝方とはいえ、まだ真っ暗である。女の子にとって、知らない人間と暗い路地ですれ違うのは、怖かろう。

   私は、なるべく大袈裟に新聞を持つ仕草をした。暗くてもシルエットで同業かどうかは分かるものだ。私だとやっと気が着いたらしい。
   むこうもこちらに向かって走り始めた。その子と無言ですれ違った。

愛想のいい男なら、すぐに「何々新聞だよ」と言って安心させてあげるであろう。それが相手を、特に恐怖心に駆られている若い女の子を気遣うことだと思う。
   そんなことは、分かっているが、野暮天の私は、結局口は聞かなかった。

真っ暗だった街中が、次第にその姿を現してくる。夜明けが近い。
   私は、夜が次第に明けていく光景を毎日見ていた。空に色が着き始め、天気の良い日はオレンジ色に染まる。それから青く輝く。冬場は特に綺麗である。冷え切った大地をひ弱な太陽の光が暖め始める。

   最後の郵便受けに新聞を落とし込むと、仕事が終わる。タバコに火をつけ深呼吸する。それからゆっくりと自転車を漕いで、来た道を帰って行く。
   
   長い夜が開け、その日は、こうして始まり、新聞配達の朝は、こうして終わる。
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