西船に安い定食屋がある。駅の近くであるが、ちょと、引っ込んだところなので、気が付きにくい。
あるお昼、久しぶりに行ってみた。カウンター席に座った。私の左に若い女性が二人、その隣に中年のオヤジ、サラリーマンではない、定職を持たぬ風、が座っている。 こういう場所に、若い女性は珍しい。二人に定食がくる。食べ始める。ここで、そのオヤジのウンチクが始まる。
味噌汁とご飯の位置が気に食わないらしい。すぐ、隣の女性にブツブツ言い始める。どっちに置くのが正式だとか言っている。その女性が、配膳の時の位置を変えたらしい。彼女、すぐ味噌汁とご飯の位置を元に戻す。
私に食事がきた。食べ始める。オヤジまだ、ブツブツ言っている。皆、私の左側にいるので、私の左側の耳は大きくなる。聞きたくもないが、聞いてしまう。こんなとき、店の中は静まりかえってしまうものだ。嫌な雰囲気である。
二人の女性、食べ終わる。ご馳走様を言って出て行く。外で何を話しているのか、想像がつく。オヤジ食べ終わっているのに、今度は、天皇家の婚礼の時の花嫁と花婿の座る位置が、おかしいと言い出している。無論、今度は相手がいないので、独り言である。どうやら、ものの位置にうるさいようだ。ウンチクなのか愚痴なのか、よくわからない。
以前、最終電車で帰って来る時、隣に座った人に、会社の愚痴をこぼす、酔っ払いのオヤジを見かけた。隣の人は、偶然座っただけの人。
その人が降りると、オヤジの隣に座る人はない。反対側に座っている人は、完全に夢の中。運がいい。オヤジ愚痴を言う相手がいない。今度は床に向かって、愚痴る。余ほど面白くないことが、あったとみえる。賢い床はひたすら黙っている。実はオヤジのつまらない愚痴を、そこにいた全員が聞くともなく、聞いていた。相槌こそ打たないが、何十人もの聞き手はいたのである。
こういった、愚痴のカタマリのようなオヤジは、ブログを書けばいいと思う。毎日毎日書くことは、尽きることがないだろう。聞き手はいるかもしれない。もしかしたら、同胞が現れ、「その通り!!」などと、意気投合するかもしれない。
世のため人のため、是非、そうしてもらいたい。溜まった愚痴を、そこら中で小出しにされたのでは、たまたま、そばに居合わせた者は、堪らない。だからって、これ読んで、返信してきても、ワシャ知らん。
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