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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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職人の仕事、アーテイストの仕事 <研究所レベル> ‘09/2/6(金) |
この区分けは、意外と難しい。 普通に考えると、職人は職人だし、アーテイストはアーテイストのはずである。 ある時、わが教室の生徒さんに、どう違うか質問された。厄介な質問をすると思った。中々的確な回答は、出来なかった。それでここで整理してみる。
職人とアーテイストの簡単な分け方はある。しかし、それが全てにおいて、通用しないので困るのである。
ここで、その簡単な分け方をご紹介しよう。これは、あくまでも私の考えである。
まず、職人とアーテイストとの違いは、金銭が絡むか絡まないかである。その次が夢を追うか、伝統または技などを守るかとの違い。この四つの要素で説明出来るはずである。
始めに説明できる方から行こう。
ご存知のように、職人は金銭を頂戴して仕事をする、純然たる職業である。だから、お金が取れるようになって、一人前という言い方がある。そのため、修行は厳しいものになる。
職人は技術の世界である。感性も大事であろうが、まず、技術を身に付けないと始まらない。例えば、パン職人なら、パンのこね方、焼き方など勉強することは、たくさんありそうである。 しかし、勉強することが、たくさんあるからといって、10代から修行した者が、50代になってやっと一人前では、意味がない。金銭が絡む職人の世界では、時間が掛かり過ぎなのは、お分かりだろう。
つまり、職人の世界は一人前になるまでに、時間的な限定がある。
ここが、アーテイストと決定的に違うところである。 アーテイストの場合は、生み出すアートがマシな物になるのが、何年掛かってもいいことになっている。本人の勝手である。マシな物になったからといって、お金を取れる保障がないからである。
さて、夢を追うか否かの話しをしよう。
アーテイストは、自らの夢を追いかけるのが仕事である。文化の先頭を切って行くのがアーテイストの使命である。そのため、金銭の保証がない。 作品に金銭が絡むか絡まないかは、人それぞれで、それを以って、優劣を決めるものでもない。 金銭が絡むか絡まないかは、作品が人々に多く、好まれるか好まれないかを証明するだけである。芸術的価値とは別になる。
では、職人はどうかといえば、夢を追いかけるのが職人の仕事ではない。伝統工芸の世界なら、伝統を継承し守り、次世代に伝えていくのが、仕事となる。 パン職人が、夢を追いかけて、食べていけないのでは、困るだろう。やはり、技術・技法を勉強し守り、発展させることが、仕事になる。
ここで、まとめてみると、アーテイストは、夢を追いかけるから、金銭が絡まない。 職人は、世間が必要としている技術を身に付けるので、お金が取れる。 アーテイストが前向き、職人は後向きと言える。もちろん、職人の後向きは、過去を見ているという意味である。
と、ここまでは、すんなり行く。そこで四つの要素を、まぜこぜにすると、話がややっこしくなる。
16世紀のルネッサンス時代、絵の工房があり、10代の前半から若者は絵の修行をした。この工房は、今で言う絵画教室や研究所とはちょっと違う。絵の職人の場であったろうと思う。つまり、技術を習得すれば、食べれる可能性が高い。 おそらく、芸術と言う言葉は、存在していなかったのであろうと、想像する。
ミケランジェロも芸術家として見られていたか、職人として見られていたか、といことである。 ここが、ややっこしい。
また、伝統工芸の職人が、技術を習得し、作品も評判となり、その上、夢を追いかけたら、何と位置づけたら良いかである。
写楽や歌麿、北斎などの世界的芸術性の評価は、高い。では、当時の江戸で、彼らは芸術家としての評価があったか。アーテイストとしての扱いを受けていたか。
その時代が、職人と芸術家もしくは、アーテイストという区分けがなく、全てを、職人として片付けていたということは、容易に想像できる。 しかし、ミケランジェロも写楽や歌麿、北斎も職人としての一面を持っていたことも、確かである。
現代では、職人の仕事とアーテイストの仕事は、一応区分けされている。しかし職人がアーテイストの領域に入り込むこともあるだろうし、逆にアーテイストが職人の領域に入り込むこともある。
したがって、どのような仕事をしているかで判断するしかない。 ある時は、パン職人、またある時は、パンアーテイスト。
こればかりは、語るに難しい。
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