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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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考え事をする犬 <エピソード> ‘08/11/8(土) |
昔、阿佐ヶ谷の路地で、そういう犬に出会った。
私は、子供の頃に犬に噛み付かれた記憶があるためか、犬が苦手である。今までにも、何度か犬に手を差し伸べたことがあるが、それは、飼い主への社交辞令であり、犬へのお愛想もある。 間違っても噛み付くなよ、という意味が込められている。
最近は、狂犬病対策から野良犬は、トンと見かけない。はずであったが、その鎖をしていない、単独行動の犬にバッタリと出会ってしまった。
私がまだ独身で、杉並区の阿佐ヶ谷に住んでいた頃なので、二十代である。 阿佐ヶ谷近辺をご存知の方は、狭い路地がいくつもあることをご記憶であろう。 ほとんど再建築不可の家々に囲まれた路地は、人がすれ違うのがヤッとで、消防署の火災時災害時危険区域に指定されていると、聞いたことがある。火災時に消防車は、どこから入るのであろうと思う。
その、狭い路地で鎖をしていない犬に出会うとは、最悪のシチュエーションになる。 辺りが暗かったので、夜だったと思う。
アパートを出て、狭い路地を抜けた先に、阿佐ヶ谷駅近辺の繁華街がある。 その狭い路地を左に折れて、また狭い路地が続く。左に折れた時、すぐ見えたのが犬であった。 薄暗い路地をコウベを垂れて、トボトボとこちらに向かってくる。 「どうしよう」と思った。この犬と、この路地ですれ違うのは、どう考えたって戴けない。
お愛想を言う気もしない。第一飼い主がいない。手を出してガブリと噛まれたらそれまでである。 懐柔策に出るか、逃げるか、猛スピードで考えた。
恐怖の実体が、刻々と私に歩み寄ってくる。冷や汗が出た。まだ判断を決めかねた。 逃げても犬の方が早い。
その犬が2メートル足らずの所に迫った時、急に顔を上げ、後ろに飛びのいた。 そして、来た道を一目散に逃げて行った。あっという間の出来事であった。 あとには、無言で立ちすくむ私がいた。
一体、あの犬はどうしたのであろう。犬があれほど無用心とは思わなかった。こっちは、冷や汗を垂らしている時に、その犬は、状況に気が付いていなかったのである。 相手は人間でなく、いわば獣である。人間より周囲の状況判断は早いのではないか。第一、そういう神経でないと生きていけないはずである。私のそばまで来て、やっと人に気が付くとは、なんと、無用心なことか。
ホッとしてから、そんなことを考えた。
犬は、下を向いていたが、ちょっと横にしていたような気がする。考え事をする時のポーズである。では、考え事をしていたので、私に気が付かなかったのか? 犬が、考え事をする? 何を?
そこまで、思い巡らしたが、結局、ことの真相はその犬とともに逃げ去ってしまった。 そういえば、少し痩せていたような気がする。「腹減ったなー」と今晩の夕食の調達方法を考えていたのかもしれない。
きっと、そうだな。元気のない様子でトボトボ歩いていたので、そう考えると、合点がいく。私は、この結論で満足した。 駅前で、ご主人と散歩中の犬を見かけた。血色がよく元気だった。
なんだか、さっきの犬が、急に可哀想に思えた。
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