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アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

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森のむこう<エピソード> ‘08/8/2(土)
   夜中に、映画を見た。

イギリスの文豪、チャールズ・デイケンズの「オリバーツイスト」である。この手の映画が好きというわけではない。たまたまである。

   イギリスの田舎の、のどかな風景が映し出された。
それを見て、思い出したことがあった。

   高校受験の時、机の前の壁に一枚の写真を貼っていた。

おそらく、中学校の教科書に載っていた写真だったと思う。教科書にそんな写真が挟みこまれていた。

   三年間で三枚、外国の風景写真であった。そのうちの一枚が気に入り、机の前に貼ったのである。
   その写真は、深い森の写真で、手前から奥に広がり、その先は、消えていくような、そんな、静かな風景描写であった。
   私が気に入ったのは、その奥の先である。何かを暗示していた。
その先は、どうなっているのだろうかと、夢見た。その時の私には、「その先」が重要であった。

   受験生なので、その先に、今の試練を乗り越えた先の世界が広がっているような、気がした。
   中学3年の時、その写真を眺めながら、勉強した。
高校に受かったら、その先を見ることが出来ると、勝手に思っていた。癒しである。

   「その先」にあるものは、人の心を騒がす。あの山の越えた先に何かある。
そう思って、何人の人々が、山を越えて行っただろうか。

祖父から聞いた昔話である。

   若者は、「その先」にロマンを感じる。だから、心が騒ぐ。あの空の下には、全く知らない人が、それぞれの生活をしていると考えた時期も合った。

   あの空の下、この道の先、知らない場所への憧れ、知らない人々との出会い、そんなロマンが、若かった私の心を支配していた。

   残念ながら、今はそんな風には考えない。私からそんな無邪気なロマンが消えうせるほどに、大人になってしまった。
   何処に行っても同じ。あの道の先は、ここと同じ。知らない人々との出会いは、知り合いが倍になるだけ。 あの空の下にロマンなし。なぜなら、あっちから見ても、こっちから見ても、現実に変化なし。

   味気なしや。

おそらく、今の私の現実観のほうが正しい。しかし、無邪気なロマンを感じているほうが、人生は楽しめることも、確かである。正しいことが、必ずしも正しい感じ方を意味しない。

   実は、「オリバーツイスト」の中の美しい情景を見ていて、美しいのどかな田園風景だとは、思ったが、日向と日陰、手前の道とその先の道、丘と青い空だなと思っただけなのに、自分でも驚いた。

   私は、若い頃から風景にロマンは感じたが、風景に見せられて絵を描いたことはないタイプである。
   若い時から、私の創作的感受板は風景には動じない。だから、ロマンがとれた風景は、単なる風景であることを、「オリバーツイスト」を見ていて確認してしまった。

   ただし、郷愁は別である。
ロマンは夢の話であり、夢は現実に蝕まれる運命にあるが、郷愁は、帰巣本能のように心の中に刷り込まれたものであり、創作的感受板とはこれも関係ないが、遠い記憶が風景に投影されるので、いつまでも続く。
   郷愁は、ロマンと同じく甘い香りである。

風景にロマンを感じなくなった今、私を楽しませてくれるのは、この郷愁である。

   森のむこうに、あるものは何か。
それは、胸を締め付けられるような郷愁こそ相応しい。
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