fc2ブログ
アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

最近の記事

カテゴリー

カレンダー

04 | 2023/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最近のコメント

FC2カウンター

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

フリーエリア

にほんブログ村 美術ブログ 絵画へ にほんブログ村 美術ブログへ

RSSフィード

なぞなぞ <エピソード> ‘08/7/19(土)
   世の中に、謎は多い。

日本の社会機構がそもそも、謎である。
政治機構、役所のシステム、人間関係など、年を経ると謎も増える。

   本当ならば、年を経ると、謎も減らないとおかしいが、なぜか、謎が謎を呼ぶ。
世の中の謎は、年々深まる。どういうわけだろうか。
   
   それはそうと、こと絵の世界に謎は、あるだろうか。
以前、<エピソード>で、「謎の男」と言うのを書いた。個展会場に紛れ込んだ「謎の男」の話である。
   絵の世界は、やはり一般的ではないのだろうか。人物を語っても謎は多い。

私は、10代の後半に3年間、銀座にモデルを描きに通っていたことがある。裸婦クロッキーである。
   その中に、時々見かける若者がいた。私と同じぐらいの男性であるが、休憩時間にいつも後ろをブラブラしてウォーミングアップしている。やたら落ち着かない。初めは気にも留めなかったが、ある時、私の前の列に座った。

   作業中に、何を描いているのか覗き込むと、小さいスケッチブックに、小さくモデルを描いている。それもワンポーズ一枚描くだけである。ほとんど、意味がない。
   私は、師匠にワンポーズ10枚描けと、言われて来ているので、忙しい。
彼は、一枚描いて、休憩時間にブラブラしている。何のために来ているのだろうかと、その時思った。   いまだにその目的は謎である。

   絵の世界は、謎めいている。

絵の話ではないが、もう一つ、謎の話をしよう。

   これは、ある男の謎である。

今から、14年前になるが、家族で、ミヤンマー(昔のビルマ)に行く時の話である。
   12月の初旬、当時住んでいた杉並区のマンションを出発、札幌から出てきていた女房殿の両親、親戚の19才と22才の姉妹二人、女房殿と私が、始発に近い早出の地下鉄「丸の内線」の車中にいた。

   新宿から成田行きの列車に乗るためである。私は、2週間遅れで後から行く予定なので、今回は、見送くり。
   12月なので、皆、コートを着ているが、コートの中は軽装である。ミヤンマーは暑い。だから、成田空港のコインロッカーにコートは預けていく予定でいる。

   アロハシャツのような軽装が、コートから所々覗いている。見ようによっては、慌てて家を飛び出して来たようにも見える。それぞれに旅行バックを抱え、皆、てんでに、目をつぶり、早朝の出発にグッタリして元気がない。とても、これから、楽しい海外旅行に行くようには見えない。

   季節は、12月である。全員で夜逃げして来たように見えないこともない。家族の頭数は、合っている。
   おじいちゃん、おばあちゃん、両親、子供二人、大きなバック、ちぐはぐな装い、疲れきった元気のない表情、早朝の電車、12月、師走。

   早朝の電車なので、席は空いている。皆きれいに一列に並んで座っている。
さっきから正面の席の男性が、ジロジロ我々を見ている。40代後半とおぼしきその男が、無遠慮に観察している。判断を決めかねているような視線であるが、その口元に、うっすらと嘲笑が見て取れる。

   夜逃げの線に落ち着きたいらしい。

その男と目が合った。私はすかさず目をそらした。うまく引っ掛かると面白い。

   それから、そっと、その男をのぞき見ると、男は満足そうな笑みを浮かべて、また、我々を一通り眺め回している。

   「うーん、やっぱり、夜逃げだ!!」

男の謎が解けた。
スポンサーサイト




この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://art21japantaya.blog121.fc2.com/tb.php/381-9c816000
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)