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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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なぞなぞ <エピソード> ‘08/7/19(土) |
世の中に、謎は多い。
日本の社会機構がそもそも、謎である。 政治機構、役所のシステム、人間関係など、年を経ると謎も増える。
本当ならば、年を経ると、謎も減らないとおかしいが、なぜか、謎が謎を呼ぶ。 世の中の謎は、年々深まる。どういうわけだろうか。 それはそうと、こと絵の世界に謎は、あるだろうか。 以前、<エピソード>で、「謎の男」と言うのを書いた。個展会場に紛れ込んだ「謎の男」の話である。 絵の世界は、やはり一般的ではないのだろうか。人物を語っても謎は多い。
私は、10代の後半に3年間、銀座にモデルを描きに通っていたことがある。裸婦クロッキーである。 その中に、時々見かける若者がいた。私と同じぐらいの男性であるが、休憩時間にいつも後ろをブラブラしてウォーミングアップしている。やたら落ち着かない。初めは気にも留めなかったが、ある時、私の前の列に座った。
作業中に、何を描いているのか覗き込むと、小さいスケッチブックに、小さくモデルを描いている。それもワンポーズ一枚描くだけである。ほとんど、意味がない。 私は、師匠にワンポーズ10枚描けと、言われて来ているので、忙しい。 彼は、一枚描いて、休憩時間にブラブラしている。何のために来ているのだろうかと、その時思った。 いまだにその目的は謎である。
絵の世界は、謎めいている。
絵の話ではないが、もう一つ、謎の話をしよう。
これは、ある男の謎である。
今から、14年前になるが、家族で、ミヤンマー(昔のビルマ)に行く時の話である。 12月の初旬、当時住んでいた杉並区のマンションを出発、札幌から出てきていた女房殿の両親、親戚の19才と22才の姉妹二人、女房殿と私が、始発に近い早出の地下鉄「丸の内線」の車中にいた。
新宿から成田行きの列車に乗るためである。私は、2週間遅れで後から行く予定なので、今回は、見送くり。 12月なので、皆、コートを着ているが、コートの中は軽装である。ミヤンマーは暑い。だから、成田空港のコインロッカーにコートは預けていく予定でいる。
アロハシャツのような軽装が、コートから所々覗いている。見ようによっては、慌てて家を飛び出して来たようにも見える。それぞれに旅行バックを抱え、皆、てんでに、目をつぶり、早朝の出発にグッタリして元気がない。とても、これから、楽しい海外旅行に行くようには見えない。
季節は、12月である。全員で夜逃げして来たように見えないこともない。家族の頭数は、合っている。 おじいちゃん、おばあちゃん、両親、子供二人、大きなバック、ちぐはぐな装い、疲れきった元気のない表情、早朝の電車、12月、師走。
早朝の電車なので、席は空いている。皆きれいに一列に並んで座っている。 さっきから正面の席の男性が、ジロジロ我々を見ている。40代後半とおぼしきその男が、無遠慮に観察している。判断を決めかねているような視線であるが、その口元に、うっすらと嘲笑が見て取れる。
夜逃げの線に落ち着きたいらしい。
その男と目が合った。私はすかさず目をそらした。うまく引っ掛かると面白い。
それから、そっと、その男をのぞき見ると、男は満足そうな笑みを浮かべて、また、我々を一通り眺め回している。
「うーん、やっぱり、夜逃げだ!!」
男の謎が解けた。
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