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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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なじませながら描く意味 <大人コース(中・上級)レベル> ‘08/2/20(水) |
さて、中・上級レベルも段々難しい話しになってくる。標題の「なじませながら描く」の意味は、お分かりだろうか。
教室では、何度も言っていることであるが、これを、文章としてキチッと説明するとなると、これも難しい。説明しなければならないので、頑張ってみよう。
「なじむ」という言葉から始めよう。 なじむという感覚は、なんとなくお分かりだろう。これについて、具象の絵を参考に出す。風景を描いたとする。
私の自宅から歩いて7,8分の所に船橋運動公園というのがある。陸上競技場を始めとして、野球場、テニスコート、弓道場、サッカーグランド、アスレチック、サイクリング、ウォーキングコースなどがあり、ここら辺では、一番大きな公園である。
周りは、自然に囲まれており、公園の先は、広大な湿地帯となっている。
ここの景色を描いたとしよう。 サッカーグランドのある所が、良さそうである。 ここは、陸上競技場や野球場のある丘から一段下がった所にあり、手前が池、その周りにウォーキングコースが左前方にあるサッカーグランドへと続いている。 右上は丘なので木で覆い隠されている。サッカーグランドの先に小川があり、公園はそこまで、その先は一キロか二キロかハッキリしないが湿地帯となっている。
つまり、近景が池、右は小高くなった森、中景がグランド、遠景が湿地帯。左はやはりグランドの手前で切れる丘である。右の小高くなった森は公園の端できれるので、両方の小高い森に囲まれて池があり、グランドがあり、それを繋ぐように延びているウォーキングコースがある。
この風景自体が、周りと調和し、なじんでいる。
いい忘れたが、池は人口池である。イメージを強化するために付け加えるが、池の底は浅く、魚が泳いでいる。敷石に見立てたコンクリートで、池に向かって階段状に下がっており、単体として描きやすいが、全体の風景の一部としては、なじんでいる。
さて、どう描くか。
水彩で描いたとしよう。まず鉛筆で下絵を描く。左の小高い森の先にグランドあるので、手前の池の上半分から風景を始めよう。 スケッチブックの一番下に池の端があり、左の小高い森が左。その丘の切れた先、真ん中から左寄りに向かって、二百メーターぐらい先にあるグランド、真ん中右寄りは伸びていくウォーキングコース、右端にちょこっと小高い森を描く。上部は、延々と続く湿地帯。そこにも丘があるので、単調にならずに済む。
こんなところか。なんとなく風景が、イメージできたら、うれしい。 これに、色を塗る。なじませるのは、ここからである。厳密にいえば、鉛筆の下絵の段階で、なじませることを意識してないといけないのであるが、どういうことかというと、それぞれを単体で描かないというと、お分かりだろうか。
もし、子供がこれを描くと、単体の集まりとして把握する。池、丘、グランド、遠くの景色といったように。順番に描くと考えて頂けると、当たっている。
大人の絵は、これではいけない。風景は、連続している。手前のものから、一キロさきまで、連続して距離感を出している。すべて繋げる必要はないが、池と丘、丘とグランド、グランドと湿地帯など、バラバラでは困る。関係付けをしなければならない。 そうしないと風景にならない。その関係付けを、なじませるという。
関係付けと言って、分かる人、ピンとこない人とに、分かれそうである。これが、今回の題目の一番難しいところであるので、頑張ってみよう。
なじませることの必要性は、分かったと思う。では、どうなじませるかを、例を出して、説明する。頑張るので、想像力を働かせてほしい。
色を塗ったとする。この場合、池にしろ、小高い森にしろ、反射光があると思って頂きたい。池の色が、森に少しかぶさるのである。また、森の色も同じく池にかぶさる。つまり、隣り合わせる色に反射すると考えるといいと思う。
そうやって、隣、隣と色がかぶさっていく。結合部分を、ぼやかすというのとは違う。あくまで反射光である。ちらっと、色を振るだけでいい。
これは、単体として独立することを防ぐためである。この感覚こそが、子供の絵と大人の絵との決定的違いであるといえる。これが、なじませ方の答えである。
お分かり頂けただろうか。 このなじませることに、終始した画家がいる。モネである。モネの絵は、晩年反射光だらけで、光と色の調和を目指し、ものの実体から離れてしまうほどのなじませ方をした。
絵の中の調和。それには、なじませることを覚えないとならない。
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