今週は、今日から金曜まで、大人コース(中・上級)レベルを書きます。土曜は、エピソードです。ご愛読を。
画面にはあっちこっちに、美味しい部分が、出現する。
絵を描いていて、水彩、油絵に限らず、部分的にいい感じの所が、出来ることがある。これに、気が付くかどうかが、一つ。描き進めていくうちに、いい感じの所が出来る。これに、また、気が付くかどうかで二つ。
確かに、制作には、事前に、制作イメージがある。制作イメージに合わないものが、画面に出現したら、必要ないと判断することだろう。多分、削り取るように、潰してしまう。
もし、画面上に、制作意図とは関係ないものが、出現したときは、もし、それが、感じがいいときは、そこで、「ちょと待て!」と言いたい。
気が付いたなら、ちょと待たなければいけない。気が付かず、一つ、二つ、と画面上から、消えていっては、余りにも、勿体ない。私は。生徒さんの絵から、そういった、感じのいい部分が、消えていくのを、何度も目撃した。
画面上には、本人の意図するものと、意図しないものとが、混在する。それが、画面というものである。
したがって、制作意図と、関係ない、いわば、偶然に出来た部分も画面上には、一時、存在する。これが、制作の秘密の一時である。これに気が付くか、気が付かないかが、その人の絵の出来具合を左右する。絵の腕は、この一時に出る。
偶然出来た感じの良さは、まず、二度と画面上に現れない、と、思って間違いない。確率が極めて低い。
絵は、美味しい所だらけで、作るものである。まず、これが、分かってないと始まらない。そうやって作るものである。
どんなに高尚な考えの下に制作しても、考え通りにいくとは、限らない。むしろ、考え通りいかないという、考えから出発すべきである。画面上は実に不思議な場所で、考え通りに描けたからって、必ずしもいいとは限らない。画面上には、制作意図と、プラス・アルファが必要なのである。そのアルファは偶然の産物を意味する。
画面上に出る、偶然に気が付くかどうか、「ちょと待てよ」と、画面を見つめ直せるかどうか。さらに、それを利用して、制作できるかどうかが、その後の制作を、決定するといっても過言ではない。
画面はいいとこ取りで作る。このことを、肝に銘じよう。
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