金曜のキッズコースに、小学一年生の中国人のAちゃんが、来ていたことがある。普通の小学校に通う女の子である。だから、日本語は問題ない。
教室に最初に来た時は、おかーさんと一緒であった。おかーさんも、日本字が読めるし、話もできた。このAちゃんが教室に通うようになって、送り迎えしていたのは、この子のおジーサンであった。 この、おジーサンが、日本語を喋れなかった。
おジーサンは、授業の間、時折、買い物に行ったりしたが、ほとんど、教室の片隅で、待機していた。私とおジーサンの共通語は、英語。
この時期、金曜は、このAちゃん一人だけであったので、教室には、中国語と日本語のバイリンガル少女と、中国語と英語のバイリンガルおジーサンと、ほとんど日本語だけの私の三人だけであった
なぜか、この、おジーサンに、色々聞いてみたかったが、英語を喋らなければならない。私は、恥ずかしながら、英会話は「a little 」である。どうしても、ということなら、Aちゃんに通訳を、と思うが、いかんせん小学一年生である。難しい質問は避けるべきだし、第一、絵を描いている子に、どうでもいいことで、通訳は頼めない。
私も小学校の終わり頃から英語を習い、大学まで入れたら、10年は、英語と付き合っていることになる。その成果を示さなければ、と、詰まらない事を考えて、沈没!
おジーサン、絵のことを、<ピクチャー>と言い、私は、<ピクチャー>は写真のことだと思い、絵の世界では、頻繁に使う<ドローイング>とか<ペインテイング>とか言って、通じない。そのうち、こちらの語学力を見抜かれ、おジーサンはあまり英語を使わなくなった.
木曜日にいる、バイリンガル中国少年、小学3年生のN君に、「また、今度ね」の中国語を教わった。<再見/ザイジェン>である。イントネーションが難しく、なんども練習させられた。せめて、これぐらいは、おジーサンに言いたい。別れる際の、軽い呼びかけをしたかった。
金曜日、Aちゃんとおジーサンが帰る時、「ザイジェン!」と言ってみた。おジーサンはうれしそうな顔になり、「ザイジェン イズ SEE YOU AGAIN」と言って帰って行った。
「なア―んだ!<SEE YOU AGAIN>と、言えば良かった!」
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