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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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<教室日記>2014・7・29(火) |
 会員 榎本洋子 デッサン
「作品紹介-6」
もう、早いもので、8月になる。 真夏。 ヤダヤダ! 4日後には、納涼祭。 江戸川の花火を教室から見るイベントである。 8月の教室の夏期休講中は、毎年、秋の展覧会出品作品の制作があるので、納涼祭は、私も楽しみにしている。 花火を見て、ビールを飲む。 もう、最高!
人生は、メリハリとともにある。 ジェットコースターのように上がったり下がったり。 そのたびに、大騒ぎをするので、退屈しない。 今は、毎日の暑さに大騒ぎしている。 「なんだ! この暑さは!!」 と、言いながら、毎日が過ぎていく。 人、人生、すべからく、そんなもの。
さて、作品紹介である。 作品紹介6人目は、榎本洋子さんの貝のデッサン。
この貝の名前は分からないので、教室では、便宜的に「ツノ貝」と呼んでいる。 何本もツノが生えたようになっているので、そう名付けたが、この貝が、結構、イヤラシい。
カタチが難しいという意味。 貝は、三つ描く。 ボトルを三つ描いてから、貝に移る。 最初の貝は、巻貝と教室では呼んでいるアンモナイトのような形状をした貝。 シマの模様がある。 しかし、ボトルのような機械的なカタチに慣れた目は、貝の形状を中々認識できない。
デッサンは少しづつ形状を認識していく作業。 だから、最初の巻貝で、ほぼ、皆つまづく。 そして、少し、慣れたところで、次のホラ貝に移る。 ここで、また、新しい形状を覚える。 覚えるまで、また、つまづく。
二つ目のほら貝は、質感もちょっと複雑。 巻貝より、明らかに難しくなっている。 ここら辺で、自分が、今、貝の洗礼を受けていることを、実感し始める。 それでも、何とか、ほら貝を終了させると、次に待っているのが、貝の最終である三つ目のツノ貝。
どんどん、いやらしくなる。
ツノ貝は、カタチを間違いやすい形状をしている。
そもそも、自然界のカタチには、ある一定の法則があるような気がする。 例えば、海の生き物、特に魚系は、正面から見ると左右対称とか、カレイやヒラメのような変わり者もいるが、だいたい、カタチ的には把握しやすい。
横から見た場合、頭があり、ヒレがあり胴体があり、尾ヒレがあるように、何となく、カタチにリズムがある。 一、二、三、といったようなリズムである。 自然界にあるもののカタチは、おおむね、そういうリズムがあるが、なぜか、このツノ貝には、そのリズムがない。 一の次が、三で、次が五になってしまうような、不定リズムになっている。
そのため、皆、この貝で思いっきりつまずく。
「ドスン!!」
榎本さんは、2012年の12月に、ツノ貝を描き始め、12月まで掛かっている。 約一年間。 5月で、描き直ししたため長引いた。 ツノ貝は一見簡単そうに見える。 その前に描くホラ貝には、中へと続く貝の穴を描かなければならないので、外側と内側を描き分ける。 それが、結構、つまずく原因になっているが、ツノ貝は、外側だけ。
パッと見は、簡単そうに見えるが、そう、甘くない。 実に捉えづらいカタチをしている。 榎本さんも、このカタチには、相当、悩まされたようだ。 デッサンは、描けば描くほど深みにハマることがある。 だんだん、分からなくなってくる。 そうなると、堂々巡りで、描いては消し、描いては消し、直し続けるが、ふと、気が付くと、元に戻っている。 一歩も前進していない。
そこで、たいてい、
「せんせーい!!」
榎本さんも、ずいぶん、堂々巡りを経験したのではないかと思う。 「堂々巡り貝」 と呼び名を変えたほうが良さそうに思えるほど、皆、てこずる。 すんなり描けた人は、一人もいない。 それが、勉強というもので、頑張ってクリアするところに意味があるが、描いている本人は、それどころではない。 だんだん、堂々巡りの達人になっていくような心境になる。 榎本さんも、そんな心境に何度となくなったことだろう。
デッサンは、つまるところ粘りである。 デッサンする順番は、難易度順なので、常に難易度は増し続ける。 だから、粘り強くないと、続かない。 榎本さんの一番いいところは、この粘り強さだと思う。 愚痴を言いながらも、粘り通す。 今までのデッサンでも、何度も描き直しをしてきたが、結局、粘り通してクリアしてきた。 そうしているうちに、榎本さんのツノ貝にも、終了する時はやって来る。 仕上がりの時である。
苦労して描き上げたデッサンには、風格がある。 掛けた時間が風格を生み出す。 榎本さんのデッサンにも、苦労しただけの答えが、滲み出ている。 薄っぺらい感じは、微塵もない。 ドシッ! と腰の据わったデッサンに仕上がった。
今、榎本さんは、模様の入った陶器の水差しと、布の組み合わせを描いている。 それもそろそろ仕上がる。 デッサンは、常に前進。 常に難易度がアップする。 切りがないほど、次から次へと階段を登っていくのだが、ツノ貝で 苦労した分、今のデッサンの仕上がりが早い。 榎本さんも、相当、目が鍛えられているはず。 デッサンする目になってきたということ。 ツノ貝で、階段を三段跳びしたくらいの効果があったと思う。
榎本さん! ツノ貝の苦労は無駄ではなかったですね。 立派なデッサンです。 お疲れ様!
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