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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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<教室日記>2014・7・15(火) |
 会員 佐藤陽子 デッサン
「作品紹介-4」 庭のアサガオが咲いた。 今年、最初の一輪だが、赤い大きなアサガオである。
今年は、3月から自宅マンションの大規模補修工事があり、工事が終わった6月の初めにアサガオの種を蒔いた。 遅めの種蒔きのため、夏の間は、咲かないだろうと、諦めていたので、喜んだ。 私は、アサガオが大好きだ。 夏にアサガオが咲いていないと、何か寂しい。

マンションは、1階の庭付きの所を探した。 女房殿が植物好きなので、まあ、せめてものサービスのつもりだったが、相手は図に乗るタイプなため、鉢植えは、リビングまで進出し、葉っぱの隙間からテレビを見る始末。 外に出してくれと、苦情を言うと、鉢植えが可哀想だと言う。
「何か、間違えてないか!」
さて、作品紹介である。 作品紹介の4人目は、アサガオのように爽やかな佐藤陽子さんの足の石膏デッサン。 昨年の会員展では、複合デッサンを出品した。 デッサンコースは、単品描きの練習をする基礎デッサンコースと、構図が発生する、いわゆるデッサンコースに分かれる。 基礎デッサンコースは、紙の真ん中にボトルや貝を描くため、構図は発生しない。 とりあえず、紙の真ん中に、ほどよい大きさで描き入れる程度に留めている。 この基礎デッサンコースで、カタチについてのデッサンする目を鍛え、同時に、濃淡調整を練習する。
基礎デッサンコースを終了すると、次が、デッサンコースである。 デッサンコースは、二つに分かれ、複合デッサンと石膏デッサンがある。 これは、本人の希望。 複合デッサンは、ボトルや貝、布などの数を増やし、単品描きでやってきたことの集大成になる。 カタチについては繰り返しになるが、モチーフの数が増えると、濃淡調整は、複雑化する。 当然、構図が発生する。
石膏デッサンは、石膏像デッサンのことで、モチーフも大きくなるため、構図も発生するが、人体の勉強という新たな課題が増えるため、難易度がここでグーんと上がってしまう。
佐藤さんは、基礎デッサンコースを終了した折、複合デッサンを選択し、昨年の会員展に出品した。 その後、石膏像に興味を持ったのだろう、石膏デッサンを再選択した。 とりあえず、最初は、足のデッサン。 今回ご紹介のデッサンである。
描き始めは、昨年の5月中旬、描き終わりが今年の3月下旬。 10ケ月半掛かったが、月4時間作業なので、延べ時間で21時間。 延べ時間で考えると、まあ、そんなものだろう。 だが、この21時間は、佐藤さんにとって試練の21時間になった。
足の石膏は、結構大足で、実際の大きさより少し大きいような気がする。 これが、もし、実寸だと身長は、2メートルは超えそうだ。
とにかく大きい。 それに、いかにも背の高い人種の足らしく、ヒョロ長い。 団子のような親指からヒョロ長い足を経て、ふくらはぎに至るまでの角度が、これまた微妙。 それに、透視が掛かっている。
この足の石膏デッサンを描く人は、まず、この妙に長い足と、角度と、透視に惑わされる。 今まで、ボトルとか貝とか、それほど、複雑なカタチがないものを描いてきたので、「なんだこりゃ!」 ということになる。 佐藤さんも、「なんだこりゃ!」 と、思ったことだろう。
輪郭線を直しては描き、直しては描き、描き直しが続いた。 そして、いつも同じことを言った。
「先生! 分からなくなりました」
デッサンのツラいところは、こういう新たなカタチを、覚え込まなければならないところにある。 デッサンは、頭の中の情報で描く。 カタチについては、常に、そういうことが言える。 だから、頭の中の情報が更新されるまで、つまり、覚え込むまで、カタチは、妙なカタチになってしまう。 脳が、新しいカタチを認識できないからである。
佐藤さんは、この認識に時間が掛かった。 今まで経験したことのない角度、曲線に惑わされ続けた。 しかし、それも何とかクリアすると、今度は、また、新たな試練が待ち受けていた。 濃淡調整である。
石膏は、白いので、真っ黒に描き込むわけにはいかない。 実際、真っ黒い箇所はない。 全ての影が曖昧に全体に広がっている。 微妙なのである。 それを、調整しつつ、立体感を出さねばならない。 十分過ぎる試練であった。
しかし、何事にも終わりはある。 2014年、3月27日木曜、この長く続いた試練が終わった。 定着液のスプレーを画面にかけながら、佐藤さんは、さぞ、ホッとしたことだろう。
「やっと、終わった!」
お祝いしたい気分だったかもしれない。
今、佐藤さんは、石膏像のアグリッパを描き始めた。 「足」より数段レベルが上がっている。 というより、石膏像の始まりであるアグリッパに、今までどれだけの人が悩まされてきたことか、数え切れない。 ここで、人体を描くという難題に初めて出会う。
最初に、石膏像を佐藤さんの前に置いた時、苦味潰したようなアグリッパの口元が、かすかにニヤリ、 そして、こう言ったような気がした。
「長いお付き合いになるので、よろしく!」
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