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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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<教室日記>2013・11・5(火) |

助手 萩原正子 インスタレーション <教室日記> (作品紹介―15)
10月27日の日曜日に、キッズコースの教室展が終了してから31日の木曜日まで、教室は5週目休講だった。 これがありがたい。 キッズの発表会が近づくと、子供の出品作を間に合わせたり、飾りつけを作らしたり、色々忙しくなる。 一週間前になると、展示物のチェック・装飾イメージ・作業段取りなど、考えることが増え、 また、当日の飲み物・食べ物などの買出しにも行かなければならない。 2日分なので、飲み物だけでも相当な重さ。 それを5階まで運ぶ。
今年は、前日の展示作業に二人のお手伝いがあり助かった。 準備は前々日から始めるが、展示作業だけは、相変わらず時間が掛かり、延べで言うと10時間くらい掛かってしまう。 そして、教室展当日は、2日間で90人以上の人を相手にする。 知らないうちに気を使い、終わってみると、疲れが押し寄せる。 いつもは、後片付けもさっさと済ますのだが、だらだらと毎日教室に通い、少しづつ片付けた。 そうやって、のんびりできるのがうれしかった。
一昨日の日曜日は、特別教室。 年3回ある。 今回は秋の特別教室で、午前は、パステル・パース(遠近法)・ドローイングの初級教室、午後は裸婦クロッキー教室。 午前の部は、受講者7人。 午後は参加者15人。 まあまあ盛況。 今年最後の催し物になる。 やはり、秋はバタバタする。 私の描きかけの絵があるが、2週間、描きかけのまま進行していない。 今週は、キッズの発表会作品を子供たちに返す作業がある。 個人別に絵や工作を袋に入れ、曜日別に分けて渡す。 さっさと済ませば、自分の絵が描ける。 そういうつもりでいないと、秋は、何もできないうちに年末まで押し流されてしまう。
さて、作品紹介をしよう。 作品紹介15人目は、一戸正子改め萩原正子さんのインスタレーションである。 今年8月に婚姻により改姓した。 どうも、一戸さんで呼び慣れているので、ここではそう呼ぶことにする。
一戸さんは、私の三番目の弟子である。 30代半ば。 昨年の6月に弟子になった。 その時点で在籍2年2月。 短期間で弟子になったことになる。
最初に教室に通い始めた頃から、何となく他の生徒さんと違っていた。 絵を正式には習ったことがなく、独学で描いていたが、たぶん行き詰まったのだろう、ちゃんと習おうと思ったらしい。 デッサンで入会し、ボトルを3本、貝を三つまで描いて、基礎デッサン終了。 その後、複合デッサンと作品作りを交互にやることを希望した。 ここら辺が、またちょっと他の生徒さんと違う。 作品作りのためのデッサンであることを認識していた。 それで、基礎デッサンを終了すると、すぐに作品を描きたかったのだろう。
そんなある日、一戸さんが私に尋ねた。
「先生! 私もプロになれるかなー?」
こういう質問を生徒さんから尋ねられることは少なくない。 そのため、いつも同じ答え方をする。
「絵のプロは目指すものではない。 なるもの」 「だから、一生懸命に絵を描いていれば、いつか、知らないうちにプロになっているよ」
この時も、いつも通り同じことを言ったが、なぜか、一戸さんならプロになれるような気がした。 アートの世界に身を置く人間には、タイプがある。 まず、技術もままならないうちから、体の中にえも言えぬモヤモヤがあること。 これは、非常に大事なことで、これが、アーテイストとしての核である。 この核は、大人しくなく、たいていの場合、この核に振り回されることが多い。 したがって、教室だけで絵を描き、あとはオシマイという考え方ができない。 自宅でもどんどん絵を描くことになる。 上手い下手は関係ない。 描かないと落ち着かないのである。 大袈裟に言うと、魂が叫ぶので絵を描かざるをえない。 アーテイストたる所以がここにあるが、未熟でもアーテイストはアーテイスト。 絵のプロは、なるものだが、アーテイストは、はじめからアーテイストだと言える。 一戸さんは、そういう意味で、はじめからアーテイストだった。
入会当初から家で描いた絵を見せてくれた。 来るたびに違う絵を何枚も持ってきた。 絵の描き方もバラバラで、落書き風な描き方からキチッと描いたものまで色々。 それを毎回見せてくれた。 何か、胸の中から湧き上がる、得体の知れないモヤモヤと格闘しているような気がした。
一戸さんが教室に入会してから一年半あまり過ぎた頃、私は、弟子二人に一戸さんの弟子昇格を提案した。 橋崎講師と大野まみ講師にである。 半年後に審査をして決めることで一致。 一戸さんには、半年後に決めるので、作品を多く持参するように言った。 審査日が近づくと、一戸さんは作品を搬入してきた。 1回ではない。 何回も。 最後に車で作品を搬入した。 山のような大小様々な作品が教室の片隅に積み上げられた。 その量に驚いた。
「なんとまあ、描きに描いたり」
一応、全部に目を通したが、絵の良し悪しは別として、彼女の魂だけは、全員に伝わった。
2012年6月1日、一戸正子弟子昇格。 教室助手。 研究所所属。 2013年6月、第56回新象展に出品。 佳作賞・ホルベイン賞をダブル受賞。
さて、彼女は早々と受賞し、美術界に名乗り出た。 新象展の受賞には本人も驚いたようである。 私に受賞の報告を電話してきた時、声が震えていた。
今回、ご紹介のインスタレーションは、一戸さんが会員展用に持参した小さな寄木。 一つ一つにメッセージのように色々と書き込んである。 ホントは、横に並べるつもりだったが、それだけのスペースが取れずに、積み上げたもの。 それも面白いとして、積み上げた。
インスタレーションとは、撤去されることを了解した上で、作る作品のこと。 生け花がこれに近いかも。 この作品をどうのこうの言う気はない。 橋崎君の作品同様、一戸さんらしさは、表現されていない。 皆さんに、一戸さんの感覚がお分かり頂けたら、よしとする。 未熟でもアーテイストはアーテイストである。 一戸さんは今も何かを作っていることだろう。 自分のモヤモヤと格闘しながら。 弾丸ダンプのように走り回ってほしい。 ジタバタしてほしい。 悩んでほしい。 悩み抜いてほしい。
そうすれば、いつの日か、本当のプロになっているかもしれない。 絵の世界は孤独で過酷な世界だが、いいこともある。 それは、創作の神様が時々ご褒美をくれること。 魔法の杖を一振りすると、キラキラ星が現れ、何か一つ分かる。
「あーそういうこと」
一戸さんにも、やがて、キラキラ星の現れる時が来るだろう。 その時が来るまで、今は、とにかく邁進!
まっすぐ、振り返らず、前だけを見て、走り抜けばいい。
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テーマ:アート - ジャンル:学問・文化・芸術
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