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アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

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<教室日記>2013・11・12(火)
鈴木園子・水彩縮小

会員 鈴木園子 水彩画
<教室日記>
(作品紹介―16)

  先週の土曜日は、天気が悪かった。 今にも一雨ありそう。 
教室は、南側と西側に窓があり、視界が大きく開けている。 お天気の時は、教室中お天気モードになり、気持ちいいが、天気の悪い時は、教室中陰鬱な空気が漂う。 
  午後4時近くには、外は暗くなった。 ちょうど、キッズ教室が終わる頃。 いつ雨が降り出しても不思議ではない空模様。 イヤな天気だ。 

「傘持ってきてないよ」 と子供たちが騒ぐ。 

  この日は、二コマのキッズ教室で、8人の欠席者があり、教室は閑散としていた。 その上、天気が悪いので、何となく活気がない。 まあ、私は楽だったが。 


  さて、作品紹介である。 作品紹介16人目は、鈴木園子さんの水彩画である。
昨年、婚姻により旧姓渡辺から鈴木になった。 この方も、旧姓で呼ぶことを許されたい。 どうも鈴木さんでは、まだ、ピンと来ない。 

  渡辺さんは、在籍6年を超える。 旧教室を知る数少ない一人だ。 
旧教室は、同じ5階の北側の角部屋だった。 西と北に窓があり、全体で9坪ほどの小さな教室だった。 それにあわせて、子供教室、大人教室ともども今よりだいぶ小規模だったが、そこで5年間やっていたことになる。 小さな絵画教室だったが、それはそれでいっちょ前にやっていた。

  今の教室は、その約2倍の面積であるが、流しとトイレは、一つ分で済むので、実用面積は3倍くらいあるように感じる。 旧教室が満杯になったための引越しであったが、タイミング良く移れたのは幸運だった。 
  何しろ旧教室は、大人の受講者7人で満員。 無理して8人でぎゅうぎゅう詰め。 子供は9人でぎゅうぎゅう。 土曜日の混雑時は、どうやって、席を設けるか頭を悩ました。

  そんな中で、渡辺さんは受講していた。 水彩画で入会後、半年間は水彩画の模写をしていた。 その後、新教室に移った頃からテーブルの上にモチーフを置いて水彩で静物画を描き始める。 私が引っ張ったこともあり、この制作は長引き一年掛かった。

  水彩画を描いていて、渡辺さんはデッサンの必要性を痛感したようである。 そのため、長丁場に及んだ水彩画の制作が終了すると、デッサンに転向した。 
  デッサン修行は、2年半を超えた。 ボトルから始めて基礎デッサンを終了、そのあと、いわゆるデッサンコースでは、石膏像は選択せずに、複合デッサンを希望した。 

  ワインボトルやタイ製のテーカップ、造花、貝などをランチョマットの上に置いた鉛筆デッサンである。 しかし、このデッサンも長引き、約1年半掛かっている。 
  デッサンというより、ここまでくれば立派な鉛筆画だ。 デッサンはあくまで習作だが、鉛筆画は作品。 渡辺さんの制作スタイルがこの辺りから見えて来た。 

「時間を掛ける人」

  そんな印象。 

2012年の3月、渡辺さんは、1年半にも及ぶ鉛筆画を完成させると、今度はまた水彩に戻って、自分で撮った写真を元に制作し始めた。 久しぶりの水彩画だが、また、これも私が引っ張ったため、長引いてしまった。 1年3ケ月掛かった。 
  今回、ご紹介の水彩画である。
時間は掛かったがいい出来の作品だ。 前にご紹介の木下さんの作品同様、ほぼ完全な1点透視。 夕暮れ時のレストランと、通りの風景。 
  散歩している人がいる。 空にはカラスが二羽、夕陽に向かって飛んでいく。 陽が落ちる寸前の情景。 
  レストランは、これから夜に掛けて活気づくのだろう。 そのちょっとした隙間に生じた静寂。 何か風景の中に夢を感じる。 
  こういう場所があるんだろうな、こんな瞬間があるんだろうなという気にしてくれる。 私には、ノスタルジーさえ感じられる。 
  夕焼けの放つ魔力かもしれない。
  
現場は、横浜にあるレストラン(だったと思う)だが、実際の写真を画面上でアレンジしている。 
  写真は、エてしてそのまま使えないことが多い。 レストランの中の照明を際立たせるためには、夕暮れ時のほうが効果的である。 それなら、夕方にしちゃえということになった。 

  写真から絵を起こす場合、いかに効果的に演出するかが鍵になる。 素人写真の限界でそのまま使えるものは、少ない。 そのため、アレンジ力が必要になる。 
  いかに、アレンジするか、いかに組み合わせるか。 いかに、自然な感じを維持できるか。 課題は多い。

  今、渡辺さんは油絵を描いている。 木下さんがそうであるように、油彩画の模写。 1点目が仕上がり、2点目を描き始めたところ。 

  渡辺さんの制作スタイルは、時間を掛けること。 ほとんどの制作は、一年以上に及ぶ。 
  前にもそういう人がいて、油絵の模写に一年半掛かった人がいた。 月2回の方なので、模写する上で、色々と問題が発生すると、クリアするのに時間が掛かってしまう。 
  その人は、その後、時間が掛かることに懲りたのか、一年半も制作することはなかったので、たまたま、掛かってしまったということらしい。 
  そこへいくと、渡辺さんは、毎回である。 ほとんど、毎回粘りに粘る。 根気よく辛抱強く淡々と制作する。

「渡辺さんのスタイルだね」 

  と、私がそういうと、渡辺さんは否定した。

「先生」
「私は時間を掛けるのではなくて」
「時間が掛かるのですよ」

  と、渡辺さんは苦笑して言った。 

テーマ:アート - ジャンル:学問・文化・芸術