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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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<教室日記>2013・10・15(火) |

会員 木下瑞穂 水彩画 <教室日記> (作品紹介―12)
わが教室助手の一戸さんが婚姻により萩原さんになった。 私の三番目の弟子である。 それで、先週の土曜夜の授業後にミニパーテイーを開いた。 一番目の弟子の橋崎講師や、二番目の弟子の大野まみ講師も駆けつけ、15名くらいの気の置けない仲間が集まり、立食形式のパーテイーになった。 我が家からは、手作りの料理を二品持参。 河合君は、刺身代を奮発した。
手作り料理は、わが女房殿が作る手はずだったが、急に風邪を引き、寝込んでしまった。 木曜夜に 「鼻が変だ」 で始まり、あっという間に声までかれた。 見ていて面白いくらい(おっと、失礼)。 結局、金曜・土曜と寝込んだため、パーテイーには出れずじまい。 そのため、料理は私が作ることになった。 筑前煮と鶏の唐揚げ。 私は、なぜか調理師免許を持っている。 様々なアルバイト経験から得たもので、妙なところで役に立つ。
ある程度の人数が集まった場合、立食にするほうが楽しい。 長テーブルを三ケ所に用意し、くつろげるようにした。 特に、西側の窓は見晴らしがよく、夜景がきれいだ。 しかし、なぜか、そこのテーブルだけ誰も座らない。 どうも、皆私に遠慮しているようだ。 それでは、ということで河合君と私が陣取ると、ぼちぼち人が入れ替わりやってきた。 皆、様々な場所で様々な人と話している。 午後11時解散。 残った料理は、お持ち帰りパックで持ち帰り。 残ったら捨てることになるので、独身者は、セッセと詰め始める。 その時点で約三分の二は帰って行った。 皆、十分に楽しんだようだ。 テーブルをきれいにして、二次会開始。 私もビールは何本飲んだろうか? ちょっと酔いが回ってきた。
教室には、都内から来ている遠方組の3人が泊まることになった。 私も午前1時過ぎまで付き合ったが、だんだん足元が怪しくなり、舌も絡まるようになったので、帰ることにした。 駅の向こう側の自宅マンションまで、地球の自転を確認しながら歩いた。 普段気が付かないが、地球は確かに回っている。 飲むと良く分かる。
さて、作品紹介をしよう。 作品紹介12人目は、木下瑞穂さんの水彩画である。 木下さんは、前回の菅さんと同じ頃に入会し、二人とも未経験で水彩画なので、よく覚えている。 木下さんのほうが少し早く入会した。 木下さんは20代前半だったが、早いもので、もうかれこれ5年余りの在籍になる。 最初の2年間は、水彩画の模写をしていた。 その後モチーフを並べた静物画をやり、そのあと、写真を元に絵を描いた。 旅行先で写真を撮り、何枚も持っていたが、プリンターを持っていなかったため、それを私のパソコンに送り、私がプリントしてあげた。
木下さんは菅さん同様、模写から始めている。 模写については、このブログでも何度もご紹介しているが、絵の上達にはとても有効な手段である。 模写は自分の身長分で描けない。 相手の技量に合わせるため背伸びしないと描けない。 その背伸びが絵の上達を助ける。 全く歯が立たないものは描けないので、頑張らないと描けそうにない絵がちょうどいい。 そうやって2年間で着実に成果を上げていった。
そのあと、テーブルの上にモチーフを並べて、実際に目の前にあるものを描き出した。 この順番がいい。 模写 → 実写 → 写真 の順番は、上達の順番を意味している。 技術を身に付けてから、実際にあるものを描く。 そして、自分で撮った写真を元に絵を起こす。 とても効率のいい勉強方法だと言える。
写真を見て絵を描くのは簡単だと一般的には思われている。 それは大変な思い違いで、写真から絵を起こすことは非常に難しい。 写真は、三次元を平面化して二次元に復元したものである。 三次元の情報は二次元には入りきれないので、平面化する。 平面化した時に、三次元の情報の半分は失われる。 したがって、写真を元に絵を起こすと、半分の情報がないまま描かなければならない。 それで、写真をそのまま描くと平坦な絵になってしまう。
これを防ぐには、失われた情報を補いながら描かなければならない。 補うには知識がいる。 絵の知識。 だから難しい。 そのため、写真から絵を起こす場合、撮影者が本人自身であると削除された情報を補いやすい。 その場所を知っているから。
今回ご紹介の水彩画も写真を元に描いている。 瓦の美術館だそうな。 描き始める時に、どんな場所なのか説明してくれた。 道には、瓦が引き詰められている。 いかにも瓦の美術館といった風情だ。
ご紹介の水彩画の画面は、きれいな一点透視。 中央正面の出入り口には外の景色が薄く見える。 画面上の横の線は中央に向かって集結している。 簡潔で効果的な構図だ。 ところが、描き進めるうちに、画面右にある巨大な瓦の展示物が写真ではハッキリとしない。 いざ、描くとなると何気ないものが問題になることがある。 そこで、木下さんは、ネットでこの瓦の正面写真を探し出し、それを参考にして描いた。 細かいことをおろそかにしない。 いいことである。 しかし、問題は他にもあった。 道である。 この道を描く時に相談された。 写真どおりに描くか、アレンジするか。 道には手前から奥に向かって瓦が引き詰められている。 それを透視を効かせながら描かなければならない。 これでは、誰だって尻込みする。 結局、道を描くことになったが、この道が最終的に、この絵のテーマを決め、最大の効果となった。
作品は昨年の11月に仕上がった。 ご覧のとおり、堂々としたいい出来栄えである。 この絵を描き終えた時に、木下さんの心の中に、何か変化が起こったようである。 そして水彩画に一区切りをつけ、心機一転、今度は油絵を描き始めた。 水彩画と同じく今は模写の2点目を制作中。
今年の会員展では、ご紹介の水彩画と、初めて描いた油彩模写画の2点出品した。 興味深い出品の仕方である。 一区切りをつけた水彩画と、新しく始めた油彩画。
過去と未来。
そんな気さえする。 過去を記念して未来を夢見る。 きっと、木下さんは、そんな想いを託したのかもしれない。
私には、そう思える。
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テーマ:アート - ジャンル:学問・文化・芸術
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