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アート21教室日記
田屋優・・・・・・画家、現代美術作家  西船橋の絵画教室、研究所主宰               (掲載内容の無断転用禁止)
プロフィール

田屋優

Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。
  画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。
 
「西船絵画教室アート21
 アート21研究所」
http://www.art21japan.jp/

 南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
  

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アート講義(番外編・総合) ‘11/07/19(火)
<絵画教室の仕事>

  前回に続いて、アート講義をしよう。 
今回のテーマは、「絵画教室の仕事」。
  
  絵画教室は何をする所だろうか? 
そういう質問から始める。

  皆さんは、絵の指導をする所。 と答えるだろうと思う。 その通りだが、では、絵の何の指導をするのかと問えばどんな答えが返ってくるだろうか?
  描き方の指導、塗り方の指導、コツ、画面の取り方、遠近法云々・・・、そんなところだろうと思う。
  絵に対する考え方を指導する所だとは、たぶん思っていないだろう。

最近、生徒さんに言ったことであるが、絵画教室は、生徒さんが描く絵を、最も効率よく第三者に伝えることを教えている。 と、言った。 
  「効率よく第三者に伝えること」とは、他の人が見て分かりやすく描くという意味である。

  絵画教室に来る人は、絵が上手くなりたいと思ってやって来る。 それは確かである。 技術の習得が目的。 経験上言えることであるし、10人が10人そう考えていると思う。
  それはそれで良い。 絵を描き始めた人が考える無理からぬ願いであろう。
では、皆が皆、技術がゼロでやって来るかと言えば、それは違うと言える。 何らかの下地がある。 
  個人差はあるが、下地は皆持ってやって来る。 

だから、教室に初めて来た時点で、ある程度の絵は描けるのだが、描けないと思い込んでいるので、手が動かない。 
  しかし、それも一年いると結構描けるようになる。 下地がある分、上達が早いし、三年もいれば驚くほどの腕前になることも珍しくない。 教室に初めて来た時から考えると目を見張るものがある。 
  教室に定期的に通うために、技術力が増すのである。 
では、指導の賜物かというと、それは、はなはだ、疑問であると言うしかない。 ハッキリ言って、本人が勝手に上手くなったと言うのが正しい。
  そもそも、技術は、描いていれば誰でも上手くなる。 慣れてくるし、塗り方も要領よくなる。
  技術というものは、そういうものだし、慣れることを以って技術と言い換えることができる。 
  だから、教える側も技術については、あまり具体的な指導はしない。 初歩的なことしか言わないのである。  わが教室も技術には重点を置いていない。 おそらく、どの教室もそうだろう。 

  では、技術の指導をするのでなければ、絵画教室は何の指導をするのだろうか?

  それで、「他の人が見て分かりやすく描くこと」を指導するという話に戻る。 
絵画教室の主な仕事がこれになる。 絵に対する大事な考え方である。
 
  例えば、生徒さんで、写真を元に油絵を描く人がいる。 外国旅行した時の風景写真が多い。
  「先生、この写真を絵にしたいのですが」

  写真には、余計なものが写っている場合が多い。 遠くて何だか分からないもの。 明らかに削除した方が良いものなど、そのまま使える写真は少ない。 本人が撮っているので、こういうことは良くある。 
  そのため、写真の景色をアレンジすることになる。 どこを省き、何を付け加えるか。  
  また、コントラストもほとんどの場合、アレンジする必要がある。 絵にするためのコントラストとしては、素人写真の場合は強過ぎるためである。

  どのようにしたら、スッキリと分かりやすい風景になるか。 自然な感じがするか。 このことが指導の対象になる。 技術なら3年やったなりのものが身に付くが、絵に対する考え方は、そうはいかない。 「他の人が見て分かりやすく描くこと」は、言葉にすると簡単だが、身に付けるのは、意外と難しい。

  さて、では、これを自分一人で描くとどうなるか。 

一人で描くと、時として、思い入れが先行することがあり、画面上に色々と突っ込み過ぎる。 削り取るべきものも削り取らないので、画面は混乱混沌状態であるが、本人は結構満足していたりする。 
  逆にアッサリし過ぎている絵もある。 面倒だからとか、どうせ描けないからとか、寂しい限りの絵を平気で描く。  まあ、一人で描くとこうなってしまう。 本人は絵を描いているつもりなので、当然のように人に見せるし感想も聞くが、これは返事に困ってしまう。
  自分で考え、一人で描くのは勝手だが、独学で絵は学べない。 それほど単純でなし。
  言えることはただ一つ、人に見せるための工夫という作業が欠如している。 

絵を描くということは、人に見せるための工夫を描くということだと覚えよう。 描きたいから絵を描くのだが、それは絵を描く理由であり、目的は人に見せるためにある。 
  絵を描き出したら、人に見せるために全てがある。 そう考えてほしい。 

何にでも基本的な考え方はある。 絵の教室も同じ。 基本的な考え方、正しい解釈。 それは、技術より数段重要であり、やはり、指導を受けないと絶対と言っていいほど、気が付かないことでもある。

  今更ながらであるが、これが絵画教室の仕事になる。 


田屋のアート講義は、‘09/4/23(木)を以って終了しました。

「研究所レベル」・「大人コース(中・上級)レベル」・「大人コース(初級)レベル」・「キッズコース」・「高齢者のための絵画指導」の五講義(各60テーマ)は、左欄のカテゴリーで、閲覧出来ます。


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