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プロフィール |
Author:田屋優
「絵の多角的分析」を研究テーマに、様々な角度から見た絵の本質を分析解説する。 画家・彫刻家、田谷映周を師匠とし、兄弟弟子に画家・彫刻家、田谷安都子。 自身の弟子に橋崎弘昭、大野まみ、萩原正子。 「西船絵画教室アート21 アート21研究所」 http://www.art21japan.jp/
南船橋ビビットスクエア・カルチャースクール絵画部講師、ウエルピア市川絵画部講師、カーサ・デ・かんぽ浦安絵画部講師、NONSTOP会員。
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明日は晴れ <高齢者のための絵画指導(入門編)> ‘09/4/23(木) |
今日は、雨でも明日は晴れ、という話をしてみましょう。
絵を描いていて、いつも気持ちよく描いていたいものです。絵を描くって素晴らしいなーと思えたり、描きながら、幸せ感が味わえたら、素敵ですね。
でも、実際は、そうでないことは皆さんが、ご存知の通りです。
実際は、そんなに気分の良いことは、稀ではないでしょうか。 私の場合は、絵を描くことは仕事ですので、上手く行った時の喜びはありますが、楽しさ・幸せ感を感じることは、ほとんどないといって良いでしょう。
十代の頃に感じていた楽しさは、以後二度と訪れていません。私にとって、絵を描くことは、苦痛そのものという期間が、随分長く続きました。 それでも、続けて来たのは、「明日は晴れる」と思って来たからです。明日は、きっと良いことがある。きっと上手く描ける。そんな淡い期待が、結構何十年と続けていく原動力になるのです。
私は、人生をそんなものだと考えています。
わが教室では、初心者の方に言うことは、「すぐ、慣れますよ」と言っています。 初心者の方は、経験がありません。今の自分を分析するだけのネタがないのです。ですから、一度不安になると、土台からグラグラします。
こういう不安を抱えている方に、理屈で応対することはしません。 「何度か描いていくうちに、すぐ慣れます」と、暗示に掛けてしまいます。 また、こういう話しもします。これは、以前にも書いたことですが、始めて一年で、急激に上手くなる人はいません。 これは、絶対にいない。
しかし、現に一年ぐらいで、最初より数段描けるようになる人は、多い。 どういうことかと言いますと、暗示の成果ということです。
つまり、私は、暗示に掛けることによって、その人の固くなった肩の力を揉み解しているのです。 自分には、描けないと思うから、手が動かない。手が動かないので、余計描けないと思う悪循環なのです。
それを、「すぐ慣れて描けるようになりますよ」と、ことなげに言うと、そんなものかなと思い、肩の力が、少し抜ける。 そのうち、少し本当に慣れて、少し描けるようになると、もう不安な気持ちは、感じなくなり始める。
一年もすれば、手が全く障害なく動き始める。するとどうなるかと言えば、本来その人が持っているものが、素直に表に出てくる。その人が、初めから持っている実力です。 それが、ほとんどの人が、低すぎないのです。
ある程度、皆描ける。それが、一年後の成果です。 それを、「先生のお陰で、描けるようになりました」と私に感謝する。
先生業としては、「オイシイ」ところですが、私がどれほど優秀でも、一年で絵を描けるようにすることは、出来ません。 その人の肩の力が抜けて本来の能力が出て来ただけです。 だから、誰でも描けるという話しをします。
絵は、気持ち次第の作業です。描けないと思えば、描けない。描けると思えば、描けるのです。 そういうもんです。
ですから、前向きに考えましょう。今、調子が悪くても、明日は描けるかもしれない。 最近、ズーと絵を描いていて、気持ちが晴れることがないと、思っていても、明日こそは、良いことがあるかもしれません。
絵を描き続けるコツは、真剣になり過ぎないこと、神経質になり過ぎないことです。 もっと、おおらかに考えましょう。好きでやっていることには、必ず良いことがあります。 断言します。
お天気が雨続きでも、曇りの日が続いて、うっとうしくても、いつかは、晴れ間が覗くものです。だから、信じてのんびりやりましょう。
「明日は晴れ!」
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話題からヒントを得る <高齢者のための絵画指導(入門編)> ‘09/4/22(水) |
さて、普段の生活で、会話することは、とても大事なことですね。
会話は、情報交換という意味合いもありますが、季節の挨拶のほか、今日思ったこと、昨日思ったことなど、個人的見解を披露したり、ストレスの発散や、気分転換となり、その有意義性は、ご存知の通りです。
これほど簡単で、効果のある方法は、他にないかもしれません。 それに、電話でもしない限り、お金が掛かりません。 その上、絵を描くためのヒントが得られたら、申し分ないでしょうね。
では、本当に絵のヒントが得られるでしょうか?
私の経験でお話しましょう。
これは、以前教室の生徒さんと話しをしていた時のことです。 その方、Sさんと言いまして、70才代にようやく到達した男性です。
旅好きで最近は専ら外国に出掛けては、ツアーの合間にスケッチするそうです。 限られた時間でのスケッチですので、とにかく速く描くそうです。
使うものは、細書き用のサインペンと、携帯水彩絵具セット。 何枚か、そのスケッチを見せてくれました。急いで描いた時のダイナミックさ、思い切りの良さ、端的な描写は、みな良い出来でした。
私が、着目したのは、サインペンのほうでした。 しばらく、サインペンで、絵を描くということをしていませんでしたので、その滑らかな線の動き、しっかりした濃淡、ハッキリとした力強い輪郭線に、「ハッ!」と思いました。
以後、何度か、スケッチではありませんが、私も作品アイデアの段階でサインペンを使いました。 始まりは、Sさんとの何気ない会話からです。こういうことって、あるのです。
また、子供教室で、子供たちと話している時に、ある子が、私に尋ねました。 「先生!緑はどうやって作るの?」 私が答えます。「緑は、黄色と青を混ぜるのだよ」
その子がまた尋ねます。 「じゃあー、青はどうやって作るの?」 「青は、原色だから作れないよ」
子供には、そう答えましたが、青にも色々な種類があります。 黄色との配分量によっては、緑に近い青もあれば、明るい青、暗い青、薄い青、濃い青、紫がかった青等々、単純ではありません。
私は、その頃、展覧会出品のための絵を制作中でした。そこに青を使っていましたが、2種類の青でした。 子供との会話で、ヒントを得て、青の種類をもっと増やすことにしました。
このように、何気ない会話から、発想するということがあります。ヒントはどこに転がっているか分かりません。 そう思って、会話を楽しんで下さい。万一、「ハッ!」とするようなヒントを貰ったら、それこそ、大儲けですよ。
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ご年配の方々の絵画サークルですること <高齢者のための絵画指導(入門編)> ‘09/4/21(火) |
私は、ご年配の方々の絵画サークルに二ケ所、指導に行っています。
一つが市川で、もう一つが浦安です。 いまのところ、全員が女性。 市川のほうは、かれこれ5年半になり、浦安がちょうど5年。長いお付き合いとなっています。 初めは、市川からスタートしましたが、ここで絵手紙を始めた頃、まず絵の描き方から勉強しましょうと、毎回、果物を持って行き、絵にしてもらいました。 そんなある日、仲間うちでも積極的に発言するKさんが、言い出しました。
「先生! 実際にあるものを写すなんて、とても出来ません」「見本を描いて下さい。それなら、出来そうです」
これには、私も驚きました。見本を写させるという発想が、私にはなかったからです。 絵の勉強という考え方をしてましたので、まず、スケッチみたいな練習をと、思 ってました。ですから、モチーフを置いてそれをスケッチしましょうと、そこから始めるつもりでした。
Kさん曰く、「私たちは、これから技術的に新しいことを始めることは、出来ません。見本を写すぐらいしか出来ない」
そういうものなのか! と、思ったものです。
以後、見本による模写に切り替えました。これを、Kさん方式と名付けました。 それで、浦安では初めから、Kさん方式です。異論を唱える人はおりません。
いまでも、このKさん方式が続いています。見本をカラーコピーに撮り、皆に渡しますので、時間内に描けなくても良いのです。 こうして私の見本は300点近くになりました。
今では、わが教室でも、この見本を子供たちが授業で写し、大人の絵手紙の人も写しています。
Kさん方式は、大変優れた方式で、理に適っています。
絵を描き始める人は、色々な問題を抱えています。特に絵手紙の人は、ほとんどが初心者です。絵を描くことの他に、文章も考えないとなりません。 色の出し方、水加減、配色の仕方、カタチの取り方、筆運びそれに文章です。
なんて、難しいのだろうと、思ったとしても不思議ではありません。
それを、単純に見本を写すだけにすると、同じハガキ、同じ絵具、同じ筆で描いてありますし、二次元の平面を、二次元に写し変えるだけですから、ほとんどの人が、対応できます。
そして、見本を一年も描いていると、知らないうちに、ハガキの紙質に慣れ、絵具に慣れ、水の量に慣れ、筆に慣れ、カタチの取り方にも慣れてくると、自然に自分なりの絵手紙を描き出します。 何人もそうやって、自分なりの絵手紙を描き出しています。全員が、70代以上のご婦人たちです。最高年令のYさんは、90才を超えています。
Yさんは、時間があると、ベランダの花をスケッチしたり、散歩中に見つけた花をスケッチしたりして、絵手紙にしています。
Yさんが、言います。 「先生、絵を描き出してから、本当に退屈しなくなりました。ありがとうございます」
水彩画をする人も、全て見本制作です。 浦安の方々が、一度、デッサンをしたいと言い出しましたので、モチーフのワインボトルと見本を持参しました。
ところが、モチーフのワインボトルは、全く見ないで、見本をそのまま写していたのに、また、驚いてしまいました。
「先生、お陰でデッサンを勉強できました」と、言われた時は、さすがに返事に困りましたけれどね。
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味わいで描く <高齢者のための絵画指導(入門編)> ‘09/4/17(金) |
味わいで描くには、どうしたら良いでしょう? サッと答えることが出来る人は、少ないと思います。
わが教室でも、絵手紙がメニューにあります。しかし、筆の先っぽを持って描くようなことはしません。 なんで、あんな持ちづらい描き方をするのか、私には分かりません。 絵画教室で教える絵手紙は、もっと合理的です。
本来、絵手紙に本家本元はないと、私は思っています。ですから、各先生が、自分のなりの教え方をしてると見てますが、なんだか、絵手紙の本を見ると、皆が皆、持ちづらい描き方を練習するように指導しているのは、理解に苦しみます。
絵手紙は、具体的な相手に出す伝達手段です。文章だけではなく、絵との組合わせで、伝達内容を具体化しようとする趣旨があります。 したがって、重要なことは、何を伝達するかになると思います。
「おいしいきゅうりのオシンコを、いただきました」と、文章に書きたければ、絵としてはおいしいオシンコが描かれていてほしいですよね。
それが、いざ、描いてみたら、スーパーで買って来たばかりの、新品のきゅうりになっては、具合が悪いのです。
これでは、伝達失敗です。そうかといって、「新鮮なきゅうりをいただきました」と書き直せるものでもありません。
ここは、是非とも新鮮なきゅうりを、オシンコにしないとなりません。 これが、絵的に見ると難しいところです。私は、そこを指導しています。それが、本来の絵手紙としての役割であるし、伝達効果というものです。
ヘタでも良いという言葉があります。このことに異論はありませんが、伝達技術は必要だということです。
さて、味わいの話ですが、なぜ、筆の先っぽを持って描くのかは、味わいを狙った描き方ではないかと、推測します。およそ描きづらい描き方です。 きれいな線が、引けるものではありません。それで、きれいな線を引かせないために、つまり、ゆらゆらした線で、味わいの効果を出そうということだと思います。
しかし、これも絵的に見ると、首を捻ります。
味わいは、滲み出てくるのが味わいというものです。ワザと出すものではありません。 上手く描けない人が、一生懸命に描いたところに、つたない線の一つ一つに、味わいが滲み出てくるものです。
それが、本来の味わいです。
また、筆達者な人が、味わいがないわけでもありません。問題は、心の中なのです。100%精神的なものです。 絵手紙を何百枚も描いていくうちに、味わいが少しづつ、少しづつ出て来るのです。
味わいは、一つの境地です。何百枚、何千枚と描いて、やって手に入れるものです。 ゆらゆら、陽炎のように線を揺らせば、出て来るというものではありません。
だからこそ、貴重だし、そういう絵をいつの日か描きたいと、願うのです。 お分かりいただけたと思います。 絵手紙を描くにしろ、水彩画にしろ、油彩画にしろ、滲み出て来る味わいを楽しみにして、描きましょう。 私は、趣味で絵を描いている人で、味わいを出す人を何人も知っています。
味わいとは、その人本人が、絵の中に出て来ることなのです。ですから、年輪を重ねた方のほうが、断然有利だとは、思いませんか。
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調子の悪い時 <高齢者のための絵画指導(入門編)> ‘09/4/16(木) |
誰でも調子の悪い時はあります。体調はもとより、精神的なこともあります。 そういう時は、どういう考え方をするか? そんな話です。
体調が悪ければ、絵は描かないでしょう。第一描く気がしませんね。絵を描くのであれば、気分が乗った時に、気持ちよく描きたいものです。 だから、体調の悪い時に、絵を描かないのは、しかたないことです。
では、気分が乗らない時は、どうなりますか? 今度は、精神的なことです。
気分が乗らない理由にも色々です。 体調が良いのだけれども、いざ、描こうとすると、描き出す踏ん切りがつかないことがあります。 このような場合で、前回の時に絵を失敗したとか、上手く行かなかったとか、そんなことが尾を引いていることがあります。
上手く行かなかった後は、嫌なものです。それは、分かります。また別なものを描くにしても、テンションは下がってしまっているので、中々上がってこない。 こんな場合、たいていは、この次にしようと考え、描かないことが、ほとんどだと思います。 普通、そうなっちゃうでしょう。
もちろん、気分が乗るのを待つという方法も、悪くはありません。 でも、こういう時だからこそ、描くという考え方もあります。
気分というものは、変わりやすいですよね。次に絵を描いた時に、上手く描けたら、一度で気が晴れるということがあります。 もちろん、その逆もありますが、大事なことは、あまり気にしないことです。
上手く行かなくとも、明日の日は昇ると、おおらかに考えましょう。晴れた日もあれば、曇りもある。上手く行かなくとも、そういうものに対する免疫を作ることが、絵を描く上で、大切なことになります。
私が、指導に行っています、ご年配方の絵画サークルで、最近辞めた人がおります。 理由は、描けなくなったということらしいです。 その方は、毎回絵を描いては、私に見せてくれました。結構な年月描いている方です。
どうして、描けなくなったかは、分かりません。 辞めた理由を、他の生徒さんに聞かれましたので、本人が私に言ったことを、そのまま告げると、「私なんか、万年調子悪いのに」と、言ってました。
万年調子悪くとも続ける人と、調子が悪いと言って辞めてしまう人との差は、微妙です。 気持の持ち方次第ということです。
絵の神様は、続けた者にしか、微笑みません。 辞めてしまったら、それまでです。
もったいない。
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